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PR想像を超える実力のヘッドホン/プリアンプ

音質にサイズは関係ない。EARMEN「CH-AMP」が机上を最高峰のリスニング空間に変える

2022/12/28 土方久明
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優れた分解能と、量感あふれるサウンド。プリアンプとしての実力も本物



続いてCH-AMPのプリアンプとしての能力を確認する。こちらは2つの手法を用いた。まずは近年、盛り上がりを見せるアンプ内蔵のアクティブスピーカーと組み合わせる。ここでは10月に開催された、インターナショナルオーディオショウで参考出品されたAIRPULSE初のアナログ入力専用モデル「SM200」を用いた。

10月開催のインターナショナルオーディオショウで参考出品されたAIRPULSEの新アクティブスピーカー「SM200」のプロト機を用いて試聴を実施

再生システムはMacBook → Tradutto → CH-AMP → SM200の順で、CH-AMPとSM200は別途用意の「4.4mmバランス-XLRバランス変換ケーブル」で接続。SM200は本格的なモニター用途でも使用できる音質を狙ったとアナウンスされており、音質最優先の設計思想から今まで同ブランドのスピーカーが搭載していたD/Aコンバーターをオミットしている。

「CH-AMP」の4.4mmバランス出力を活かすため、試聴においては変換ケーブルを用意。製品には同梱されていないので注意されたい

また入力のゲインこそ調整できるものの、ボリューム調整機能は備わっていない。これ、プロ用途の高品位なスタジオモニタースピーカーでよくある構成なのだ。そして、このような環境でこそCH-AMPはその能力を遺憾なく発揮する。SM200はXLRのバランス入力を備えていることがミソ。つまりCH-AMP → SM200の間を音質劣化の少ないバランスケーブルで接続して、さらにCH-AMPの高品位なボリュームも利用できるのだ。

ここからは、SM200の音質を含めたレビューとなるが、気になるサウンド傾向は、フラットな帯域バランスと内蔵パワーアンプの能力を活かした立体的な低域表現により、これまで聴いてきたAIRPULSEで最上の「ソースに忠実な音」を出すことができた。このスピーカーは後日しっかりとレビューしたいところだ。

CH-AMPとスピーカー間を音質劣化の少ないバランス接続することで、「ソースに忠実な音」を楽しむことができた

J-Popからチャート上位を席巻しているナトリ「Overdose」(96kHz/24bit)は、ソースに対して忠実な質感表現があり、ボーカルのセンター定位もリアル。小レベルでも音が痩せず、分解能も高いが、ここはCH-AMPの能力が現れた部分だろう。

最後は一般的なパッシブタイプのスピーカー環境にCH-AMPを投入した。CH-AMPとアキュフェーズのパワーアンプ「P-4500」をバランス接続して、スピーカーは英国Monitor Audioの「PL200 II」を駆動する。

「CH-AMP」をパワーアンプとバランス接続し、フロアスタンド型スピーカーをドライブ。小レベルの音が欠落せず、質感表現に優れた音を再生する

ここでは女性ボーカルを聴いた。ブルーノートから昨年発売され、音質内容とも評判の良いレナード・コーエンのトリビュートアルバムから、ノラ・ジョーンズが歌う「スティア・ユア・ウェイ」を再生。スモーキーで息の混じったアーティスト独特の声質がリアルだ。口元の大きさも明確で、透明感の高い音に感心する。せっかくなのでDSDファイルも再生してみた。アンプとバランス接続したことで、小レベルの音が欠落せず、アコースティック楽器の質感表現に優れている。


正直にいえば、試聴前には小型であるという先入観もあり、ここまでの音質は想像できなかった。しかし一連の試聴で確信したのは、CH-AMPとTraduttoから表現される音は、機器の大きさが信じられないほどに高クオリティであるということ。

金額は決して安いとはいえない。しかしその音を聴けば、この機器に投資する意味を実感できる。高品位なデスクトップシステムでヘッドホンやスピーカー環境を構築できるし、大型システムとの組み合わせで、ハイエンドにも通用するモデルとして使えるほどで正直驚いた。欠点らしい欠点も探したが、試聴の時間では見つけられず、総合的な完成度がかなり高い逸品だ。

(提供:株式会社ユキム)

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