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【PR】数値と感性の両面でオリジナルに近づける

名作イヤホンをワイヤレスで復刻、フィリップス「SHE9700BT」は一聴の価値あり

公開日 2021/12/01 06:40 海上 忍
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価格レンジを維持してBluetooth化を実現するための努力

だからこそ、SHE9700BTの音響設計を担当したTP Vision 三浦正富氏に開発ストーリーを聞いたときには、思わず唸ってしまった。

まず、SHE9700の基本設計は可能なかぎり継承しているという。ハウジングは細部に至るまでオリジナルSHE9700を踏襲、ドライバーもネオジムマグネットの8.6mm径ダイナミック型で同サイズ。微妙な角度のアコースティックパイプも、ターボバスのエアベントも、オリジナルのまま。この点は想像の範囲内だし、セオリーどおりだ。

「アコースティックパイプ」の角度までハウジングのデザインはそのまま

唸ったのは、そこから先の工程。何度も周波数特性を測定し、オリジナルモデルのものに近づくよう調整を続けるとともに、実際に音を聴いたときの印象を反映させる、という地道な作業をひたすら続けたのだそう。Bluetooth化で一変してしまったイヤホンとしての特性を、数値と感性両方からのアプローチで可能なかぎりオリジナルへ近づける作業こそが、BluetoothでSHE9700を復刻するという試みの勘どころなのだ。

価格レンジを維持しようとする努力は、その仕様から窺える。現在主流の完全ワイヤレスではなく、左右ユニットが有線でつながる左右一体型を採用したことは、ひとつの決断だろう。それ以前に、バッテリーや基板を内蔵するとなるとハウジング形状を一変させねばならないため、オリジナルSHE9700をBluetoothで再現しようという開発趣旨にそぐわない。左右一体型の採用は妥当な判断だといえる。

“オリジナルモデルの再現”に影響しない部分ではアレンジされている部分もある。たとえばハウジングの背はマグネット内蔵で、左右をまとめておける

オリジナルを彷彿とさせる巧みな再現力

SHE9700BTの試聴にはスマートフォン(iPhone 13 Pro)、音源にはストリーミングコンテンツ(Amazon Music HD/FLAC)を利用した。対応コーデックはSBC/AACと、iPhoneで利用するには申し分なく、ユーザのニーズからしてもストリーミング音源が好適と判断したためだ。

パット・メセニー・グループの「エブリ・サマー・ナイト」は、冒頭で4つ打ちされるエレクトリックピアノが印象的。抑制されたエコーが心地よく、楽器の立ち位置を想像できるような見通しのよさもある。スネアドラムの刻みは鮮明で、スピーディーに収れんするところがいい。

重低音はどうかと、ブラック・サバスの「エンド・オブ・ザ・ビギニング」を再生してみると、なかなか量感がある。Bluetooth、しかもコーデックがAACなだけに、ベースなど低く沈み込む楽器のニュアンスにはオリジナルSHE9700との違いを感じてしまうが、彼らならではのヘヴィネスはしっかり再現されている。中高域の解像感も上々、金属質なサウンドは魅力的な仕上がりだ。

オリジナルモデルの適度な解像感や重みのあるサウンドがしっかりと蘇っている

左右がコードで繋がっているとはいえ、シンプルかつ軽いので使い勝手はよい

個人的にツボだったのは、いわゆるウエストコースト・サウンド。アメリカ「ベンチュラ・ハイウェイ」やドゥービー・ブラザーズ「リッスン・トゥ・ザ・ミュージック」のように、アコースティックギターの音が適度にほぐれていなければ雰囲気が出ない曲は、このSHE9700BTというイヤホンは実に巧みに再生してくれる。これはまさに、解像感と帯域間のバランスのよさでも知られたオリジナルSHE9700を彷彿とさせる部分だ。

ワイヤードの名作をワイヤレスで復刻するという難問に挑んだ「SHE9700BT」。その音はオリジナルSHE9700と寸分違わず同じというわけではないが、よくぞここまで、と健闘を称えたいほどの完成度には達しているし、肝心のコストパフォーマンスも維持されている。気軽に使えて音がいいイヤホンがBluetoothで復活した、そう考えていいだろう。

銘機の復活とワイヤレス化というテーマを見事に形にしている


(提供:TP Vision)

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