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まさに“生演奏の臨場感”。ジャパニーズ・ハイエンドの匠、TADが生み出す空間描写性に感激

2021/01/07 角田郁雄
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■最新のコンピューター解析に加え、聴感による追い込みも重視

開発の中心となるTADの長谷氏とは何度もお会いしているが、特にTAD-R1TX、TAD-CR1TXに関しては、「理想の音楽再生への執念」を感じるのである。

そのひとつが、CSTドライバーである。今振り返ってみると、開発当時は高域と中域の音的分離感を憶えたが、この40年でプロフェッショナルドライバーで培ってきた蒸着製法のベリリウム振動板技術を高い次元で進化させ、高域と中域ドライバーの干渉がない、フルレンジの質感を実現している印象を、私は実感している。もちろん、最新のコンピューター解析測定なども行なったであろうが、それだけでは長谷氏は納得いかないことがあったのであろう。聴感上で感じる問題点を潰しながら、CSTドライバーを進化させてきたと推察できるのである。

ミッドレンジとトゥイーターを同軸で配置する、TAD独自のCSTドライバー

そして2つ目は、このCSTドライバーの優れたハイスピード・ハイレスポンス特性に応えるウーファーである。大振幅時でも振幅が制限されず、安定動作し、波形を正確に再現するショートボイスコイルタイプのOFGMS磁気回路を搭載している。そのネオジウム製磁気回路のプレートには独自のスリットを設け、3層構造の強靭なTLCC25cmウーファーのボイスコイル(TAD-CR1TXは20cmウーファー)をハイスピードで駆動するのである。まさに広い磁束密度分布特性が、ウーファーの広い駆動特性を実現したのである。

TAD-R1TXには、25cmの堂々たるダブルウーファーを搭載

このようにユニット細部にまで踏み込み、理想の低音を追求したのである。さらには、振動板のサスペンション(エッジ)には、プロ・ユニットでも採用される断面がW字のようなコルゲーションエッジを採用。前後駆動による直線性(リニアリティー)を高めているのである。

3つ目は、駆動振動を徹底して低減させる独創的なSILENTエンクロージャーである。大きな特徴は、航空機の翼や船舶の船底のような強度の高い構造である。TAD-R1TXでは、音響特性に優れ、内部損失の高い21mm厚の樺材を内部フレーム(骨格)とし、その周囲を高周波加熱プレスされたMDF材で覆ってしまう構造とした。

この異種素材の組み合わせと、奥に窄まったティア・ドロップ形状(涙形状)により、より一層の振動低減と回折効果の回避を行なった。またヘッド上部にわずかな丸みをつけ、空間再現性、解像度を高めているのである。さらには、各板材の組み方や接合部による音質の違いにまで踏み込んで制作しているのである。これにより、長谷氏は「さらに空間描写性が高まり、演奏の細部が見えるようになった。静けさを引き立てることができた」と語っていた。

奥にすぼまるティア・ドロップ形状で、不要な回析を排除している

■超低域までリニアに伸び、音楽のさらなる深みを感じさせる

高さを60cmに抑えたTAD-CR1TXについても、ほぼ同様の仕様としている。この点について長谷氏は、「測定値に現れない部分は、カット・アンド・トライを重ねて、聴感上で音質を追い込んでいます」と語っている。

そして注目されることは、天童木工の協力により実現した構造と美しい天然木「ポメラサペリ」である。以前は両側板とリアの船底のようなU字形状板による3ピース構成であったが、今回は、両側板のリア部を美しく折り曲げ、リアの中央で接合することを実現した(2ピース構成)。

フラグシップの技術を受け継ぐTAD-CR1TX。美しい天然木「ポメラサペリ」仕上げとなっている

独自のバスレフポートや内部定在波を低減する技術、厳選パーツ採用のネットワーク回路と端子板など細部にわたって、高品位に仕上げているのである。両モデルは、天童木工による美しい外観に加えて、緻密な測定でも表れない聴感上の音質向上までも追求しているのである。「進化」というよりも、細部の深いところにも踏み込んだ「深化」と言えるのである。

素晴らしいのは、この両モデルの音楽再生力である。もちろんTAD-R1TXの方が低域の量感が豊富であるが、その低域も、前モデルではいかにも低音の弾力感を強調していたが、今回は超低域まで自然にリニアに伸びている印象を受けた。特に低域が消え入るところまで、濁りを感じさせず、低音が自然減衰するところに、音楽のさらなる深みを感じさせる。もちろん、ジャズの激しいドラムスの連打やパイプオルガンの壮大な響きでは、低域のリアリティを最大限に再現している。

フラッグシップモデル「TAD-R1TX」を、パワーアンプTAD-M700Sで駆動

TAD-CR1TXにおいても同質の低域が再現され、このサイズからは、想像すらしないほどの開放的で透明度の高い低域を再現してくれる。そして圧巻の中高域再生。両モデルともに、まさにベールを1枚も2枚も剥いだかのような音の透明度を示し、再生する音楽の空間をストレートに描写し、ホールトーン、スタジオのアンビエントの質感まで鮮明に再現してくれる。

プリアンプはTAD-C600、CDプレーヤーはTAD-D600というオールTADシステム

まさに生演奏に迫る奏者の描写が空間に現れるのである。ちなみに前モデルと違うところは、高域と中域の繋がりが向上し、ベリリウムの伸びやかで華やかな響きの質感が、良い意味で抑えられ、楽器や声によりリアルな質感を感じさせてくれる。今回のエンクロージャー技術により、空間描写性が高まり、特に奥行きが深まった印象を受けている。

確かに高価ではあるが、まさに一生涯愛用できる特注の家具のように丁重に製作されるのである。「メイド・イン・ジャパンの匠」と言えるのである。

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