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ヤマハが掲げる「True Sound」を体現する新プリメイン登場。“5000シリーズ”から連なる思想と音を聞く

公開日 2020/10/09 06:30 インタビュー構成:ファイルウェブオーディオ編集部/レビュー:山之内 正
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■アコースティック楽器の質感の高さはグレードを問わず感じられる

ここまでA-S3200に焦点を合わせて紹介してきたが、レベルの深さに違いはあるものの、5000シリーズから設計思想を受け継ぐ手法はA-S2200とA-S1200にも共通している。この2モデルの場合、電源トランスを従来のEI型からトロイダルコア型に変更したことによる音質の変化もあるとはいえ、メカニカルグラウンドや低インピーダンス化の徹底など、今回の音質設計の基本コンセプトにぶれはない。電源トランスの変更も開放感や躍動感の向上に寄与するので、全体としての音の志向は3機種でよく揃っているという印象を受けた。

A-S2200は声の発音やバロックオーケストラの俊敏なアタックに、上位機種との共通点を実感した。チェチーリア・バルトリがヴィヴァルディのアリアを歌った《優しき女よ》では、どこで息継ぎしているのかと思わせるほどの速いパッセージと、声の音色を整えながら息の長いフレージングで歌う部分の対比が鮮やかで、表情の振幅がとても大きい。弦楽器とトランペットの立体的な描写もそうだが、演奏の中から思いがけず鮮鋭なコントラストが見えてくる面白さがある。

エモーショナルな表現を引き出す点ではジェーン・モンハイトのヴォーカルも聴きどころがある。スタンダード・ナンバーの「アイ・ウォント・ダンス」をマイケル・ブーブレとのデュオで歌いながら、気持ちの揺れをそこはかとなく浮かび上がらせる。そんな微妙なニュアンスの有無を意識しながら旧モデルと聴き比べると、今回の進化の大きさに気付くはずだ。

A-S2200の外観。横幅は3200と同じだが、高さは23mm低い。トロイダルトランスに変更、PC-Triple Cの採用など、こちらも内部に変更を加え、音質を高めている

A-S1200はアンバランス入力で聴いたが、声や旋律楽器の音像が力強く前に出てくるなど、バランス接続で聴いた上位2モデルとの共通点を聴き取ることができた。ハイレゾ音源で聴いたウィリアムス浩子のヴォーカルはその好例で、発音が素直なので声が前に出てもわざとらしさはなく、ピアノの高音域もスーッときれいに抜けていく。

『優しき女よ〜ヴィヴァルディ:オペラ・アリア集』(チェチーリア・バルトリ)

声とアコースティック楽器の澄んだ音色と質感の高さは、ヤマハのオーディオ製品が代々受け継いできた資質の一つで、A-S1200もそれを確実に受け継いでいる。オーケストラの押し出しの強さやスケール感など、上位機種に譲る部分もあるが、ブックシェルフ型スピーカーとの組み合わせならそこまでの差は出ないだろう。

オーディオ製品は手をかければかけるほど音が熟成する。ただし、特にアンプやスピーカーは最先端の技術を載せるだけではなかなか思うように熟成してくれない。物理的な指標だけで追い込んでも、音楽に備わるダイナミックな躍動感やエモーショナルな表現に追い付かないことがあるのだ。

A-S1200は入力端子がRCAのみと簡略化。基本コンセプトとデザインは踏襲しつつも、コストダウンを図っている

インタビューでも明かされたように、ヤマハのエンジニアは、物理的な指標だけでなく、音楽性やグルーヴ感の再現にこだわってオーディオ機器の開発に取り組んでいる。その姿勢はかつてナチュラルサウンドをテーマに掲げていた頃から基本的に変わっていないのだが、音楽そのものを表現することの大切さについて、これまで以上に強く意識していることがうかがえる。

5000シリーズの開発を進める中で、音楽的表現に結びつく技術的な要所を具体的に把握できたことは大きな資産となったようだ。彼らはその経験を「音を追い込む勘所がわかった」と語っていた。その経験が今回のプリメインアンプ群にもプラスの効果を生んだことは疑いようがない。

(企画 協力:ヤマハ株式会社、株式会社ヤマハミュージックジャパン)

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