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【特別企画】確かな基礎力で、正確な音楽表現

ラックスマンの新CDプレーヤー「D-03X」レビュー。MQAも対応“最新鋭ベーシック機”

2020/05/21 生形三郎
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■ほどよい艶めかしさとしなやかさを感じさせる、充実感のある音楽再生

アンプには、ラックスマンのA級増幅プリメインアンプ「L-550AXII」を用いてB&W 「802D3」を駆動した。L-550AXIIは、いわゆるA級アンプ的な肌触りの良さや音の濃さがありながらも、音のアタックの立ち上がりが良く、剛性感の高い音の骨格や、キリリとした音の明瞭さが魅力的なアンプだ。そこに、明晰でクールな描写の803D3を組み合わせる、という構成になる。


ラックスマンの最新CDプレーヤー「D-03X」を、プリメインアンプ「L-550AXII」と組み合わせて試聴
そしてD-03Xによるソース再生は、それらアンプやスピーカーの個性を、ストレートに、脚色無く引き出している印象である。端的に言ってしまえば、音楽ソフトに込められたサウンドバランスを、そのままの形で引き出すタイプのプレーヤーである。しかしながら、単なる味気ないモニターサウンドではない、音の密度感や存在感が高い、上質なサウンドが実現されているのだ。

CD再生を試聴すると、ピアノトリオでは、ピアノは明瞭かつ厚みのタッチで描かれ、ウッドベースのピチカートもスピード感がありながら豊かな恰幅がある。ドラムスのシンバルアタックは、切れ味良くこちらに飛んでくる。女性ジャズヴォーカルは、歌声にほんの少しスモーキーな質感があり、適度な張り出しを楽しませる。エレクトリックベースやバスドラムも、太く、剛性感の高い弾力を持った、粘りのある充実味溢れる音を聴かせた。

オーケストラソースでは、弦楽器や管楽器の響きに、ほどよい艶めかしさ、しなやかさを感じさせ、しっかりと充実感のある音楽再生を楽しませてくれる。以前、別の組み合わせでD-03Xを試聴した際にも実感していたが、やはり、組み合わせる機器や音楽ソースの素性を的確に引き出してくれるプレーヤーだと再確認する出音であった。

■MQA-CDの再生でも、情報量が多く巧みなディテール表現を感じる

USB入力を用いて、同じタイトルのハイレゾファイル再生を試聴すると、ハイレゾらしいきめ細かさを伴った明晰な輪郭で音楽が描かれ、よりナチュラルなサウンドを楽しめた。SACD再生にこそ対応していないものの、SACD以上の情報量を持つフォーマットが再生可能なUSB入力を持つこと、そしてCDタイトルの圧倒的な数の多さを考えると、本機はとても合理的な選択肢とも考えられる。

そしてMQA-CDの再生音質であるが、先述の手法によって、同社のこだわりを感じさせる音質を実現していることに驚かされた。より情報量が多くディテール表現が巧みで、なおかつ音の分解能、とりわけ低域側の音の解像力が高いのだが、それらは、明晰ながらもあくまで音の運びが自然で、心地よい密度を感じさせる音楽再生なのである。

ちなみに、D-03XはMQAレンダラーとして使用した場合はMQAランプが「紫」に、MQAデコーダーとして使用し、「MQA Studio」音源が入力された場合は「青」、一般的な「MQA Authentic」音源が入力された場合は「緑」に点灯する

筆者が自らレコーディングした音源を、MQAの生みの親でもあるボブ・スチュワート氏にMQA化して頂いたソースでも試聴したが、本機のMQAデコード再生では、先述のような独自の音作りの魅力を、確かに感じることが出来た。

D-03Xは、音楽ソースの魅力をナチュラルかつ上質なサウンドで引き出すCDプレーヤーである。CDはもちろん、ファイル再生やMQA-CDを、ソース本来の音楽性を尊重したバランスで再生し、接続するオーディオ機器の魅力をしっかり味わわせてくれる。脚色のない表現と、確かな基礎能力を持ったCDプレーヤー&DACを求める方に、特におススメしたいモデルである。

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