ドライブメカとDACがK1から一新

セパレートの技術を1筺体に集約。エソテリックによる孤高の旗艦一体型CDプレーヤー“Grandioso”「K1X」の魅力を探る

山之内 正

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2020年04月27日
エソテリックの最高峰“Grandioso”の称号を冠した、待望の一体型SACDプレーヤーのフラッグシップモデルが誕生した。本機は先に登場した4筺体のセパレートプレーヤー「P1X/D1X」に搭載された技術を1筺体に集約したもの。しかしあくまでもセパレート型に準じるモデルではなく、一体型の最高峰として孤高の存在を目指し完成したモデルとなっている。本項では山之内 正氏による本機のレビューをお届けする。

SACD/CDプレーヤー「Grandioso K1X」¥2,800,000(税抜)

4筺体とほぼ同等の回路を1台にまとめ上げた技術力

エソテリックが2019年3月にフラッグシップを「P1X/D1X」に切り換えてから半年後、同じ“Grandiosoシリーズ”に今度は一体型モデルの「K1X」が導入された。

D1Xがモノラル仕様なのでP1X/D1Xは4筐体で構成されていたが、K1Xはそれとほぼ同等の回路を一台にまとめるために新規設計の要素が多くなる。それを僅か半年で実現したのは正直言って予想外だった。ほぼ並行して開発を進めていたとしか考えられない。

それはともかく、今回のK1Xは、正面から見る限り「K1」とどこが変わったのか見分けがつかないのだが、実は中身は大きく入れ換わっている。

ディスクリートDACと新型ドライブメカを採用

K1との比較では2つの心臓部、つまりメカニズムとDAC回路が完全に一新された。前者はVRDS‐NEOから「VRDS‐ATLAS」に変更。ATLASは16年ぶりに新規設計された最新のVRDSメカで、ワイド&ロープロファイルで低重心化を進めたことが新しい。

重さはメカ部が6.6kg、ベースを含めると13.5kgに達し、NEOと比べて27%増だ。本体が2kg重い35kgになった主因はそこにある。トレー後端の形状を含め、P1Xとほぼ同等のメカを搭載した。

VRDS-ATLAS。サイドパネルとブリッジはSS400スチール製でターンテーブルはジュラルミン製、スピンドル軸受けは新設計のスティールボールによる点接触のスラスト軸受け。モーターを下部に移動することで振動をコントロール。トレイはくり抜きを最小限とし、ストッパーなどで剛性や共振にも配慮している

D/A変換はD1Xの「Master Sound DiscreteDAC」と同一構成のディスクリート回路が受け持つ。モノラル仕様で設計されたD1Xの基板は物理的に入らないため、後段のディスクリート回路はコンデンサーなど一部パーツを変更して配列を放射状から横一列に変えているが、チャンネルあたり32エレメントの構成はそのまま継承し、音質を左右する抵抗素子も同一の部品を載せたという。

同回路を含むオーディオ基板は中央のデジタル基板を挟んで左右対称に配置し、信号経路を最短化。基板上の部品配置や実装密度から判断すると、D1Xと同等のディスクリート回路をこれ以上小さな基板に載せるのは難しいと思われる。

外部デジタル入力も強化し、MQA再生も完全サポート

基板裏側に4つのトロイダルコアトランスを固定する手法はK1と共通だが、電源回路には新たに総容量2.05Fのスーパーキャパシター群を組み込み、大容量化を実施。メカの低重心化とディスクリートDACの導入はいずれも瞬発力やエネルギー感の改善につながるはずだが、それを支える重要な要素として電源部の強化が不可欠だったのだろう。

リアパネルに新たに追加されたDC入力端子(左右各1系統)は、外部電源装置「Grandioso PS1」との接続を想定したもの。アナログオーディオ回路への電源供給をさらに強化し、高品位化することを狙っているようだ。

DACの変更に伴って外部デジタル入力も強化された。PCM768kHz/32bit、DSD22.5MHzまで対応を広げており、MQAのフルデコードとMQA‐CD再生もサポートする。いずれもD1Xとスペックは共通だ。

本機の内部構図。4つのトロイダルトランスを搭載する点はK1と同様だが、電源部は大きく進化した「Xバージョン」を採用する。4つの独立トロイダル電源トランスを搭載し、DACは左右チャンネルそれぞれで別電源を動作させる

K1XをK1と比較試聴

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