【特別企画】人気DAP4モデルやケーブルとの相性は?

テクニクス最上位イヤホン「EAH-TZ700」の実力を引き出す! DAPやケーブルと組み合わせテスト

岩井喬

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2020年01月31日

ここで初段増幅をNutubeの真空管へ切り替えると、倍音のハリの豊かさ、ディテールの滑らかな表現へと変化し、ボーカルの艶感もブライトに際立ってくる。低域方向も倍音の艶によってむっちりとしたハリの豊かさが加わり、ゴージャスな余韻が感じられるようになった。

しかし極端に真空管らしいマイルドさや倍音の煌びやかさを載せるのではなく、直熱三極管構造を持つNutubeならではの誇張感なく伸びやかで澄み切ったサウンドを軸に設計されており、EAH-TZ700は、このN8ならではの狙いどころを的確に引き出してくれる。

初段増幅に真空管「Nutube」を搭載する「N8」。EAH-TZ700はその狙いどころを的確に引き出してくれる

Nutubeに切り替えて聴き込んでいくと、徐々に真空管らしいやわらかな伸び感、倍音の豊かさが感じられる反面、いわゆる半導体方式にも通じる澄んだ空間性も両立しており、懐古的かつ印象的な真空管サウンドを目指しているわけではないということも良くわかる。オーケストラの定位感もポータブル機らしからぬ立体感を持って描き、ピアノも朗らかに響き、ハーモニクスは僅かに甘く耳当たり良い。声の質感は有機的でウェットな口元の動きも落ち着き良く上品だ。

ケーブルを前述のClear force MMCX 4.4φ Ver.2へ交換し、バランス駆動もチェック。半導体方式となることもあり、リアリティの高いクールでエッジの利いたサウンドとなる。

重心はさらに低く安定感が増し、低域の密度や押し出し感も制動良く表現。ホーンセクションやオーケストラの管弦楽器はしなやかな旋律を見せ、余韻の粒子も細かい。シンバルの響きも重みがあり、消え際までスムーズだ。ボーカルは艶良くクールでシャープな輪郭を持ち、ボトム感も素直に引き出す。一つ一つの音を丁寧に、そして芯のある力強いタッチで描き切る、エネルギッシュなサウンドといえよう。

AK4499EQデュアル搭載の最高水準DAP、「A&ultima SP2000」と組み合わせ

3台目はAstell&KernのA&ultima SP2000である。ここまでのDAPはSP1000Mを含め、DACチップはAK4497EQデュアル仕様であったが、SP2000はその次の世代となる最新のAK4499EQをデュアルで積んでおり、Astell&Kernとしては初めてシングルエンド出力とバランス出力を完全に分離・独立させた構成だ。最高768kHz/32bit・PCM&22.4MHz・DSDまでのネイティブ再生に対応し、現在最高水準にあるDAPといえるだろう。

DACにAK4499EQをデュアル搭載した、現在最高水準のDAP「A&ultima SP2000」でも試してみる

EAH-TZ700とのシングルエンド接続では、SP1000Mでの再生音と比べても圧倒的にS/Nが高く、音場の奥行きまで見通せる付帯感のないサウンドを味わえた。オーケストラの旋律も楽器の輪郭を一つ一つ克明に拾い上げ、ローエンドも伸び良く聴かせてくれる。しかしダンピングを利かせるところはスピーディーに反応するため、余韻の収束も素早い。空間の透明度、ステージの広さもSP1000Mより数段向上しているように感じられる。

ボーカルは口元の潤い感、動きのキレもより生々しく描かれ、リヴァーブの質感もニュアンスが細かい。ロック音源のリズム隊もボトムの厚みとアタックのキレをバランス良く両立させ、シンバルワークの清々しさをより際立てる。ギターやホーンセクションはキレ良い旋律に煌びやかな倍音のエッジ感をわずかに乗せ、ヌケ良く描写。艶は控えめであり、ドライかつニュートラルな傾向にある。

さらに純正ケーブルでのバランス駆動では一段とS/Nの高さ、音像の分離度が増し、音場の静寂感と余韻の付帯感のなさ、音離れの良いボーカルのリアルさが際立つ。余韻の階調もさらに細かくなり、リヴァーブのパラメーターの違い、ディレイの強さも掴みやすい。

Aqours「HAPPY PARTY TRAIN」では、シングルエンド接続に比べて各パートのボーカルの明瞭さ、コーラスワークの粒立ちの良さが印象的で、ストリングスやエレキギターもストレスなくスムーズに浮き上がる。リズムのキレが音場のクリアさに繋がり、音数のメンバーごとの声質の違いを素直に引き出してくれた。

オーケストラのアタック・リリースのスピード感もさらに高まり、余韻の後に来る静寂のS/Nの良さがより明確となる。音像の定位もより正確な位置を掴め、ピアノの複雑なハーモニクスについても分析的にほぐれ良く聴きとることができた。

最後はソニーの「NW-WM1Z」

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