【特別企画】人気DAP4モデルやケーブルとの相性は?

テクニクス最上位イヤホン「EAH-TZ700」の実力を引き出す! DAPやケーブルと組み合わせテスト

岩井喬

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2020年01月31日

リーズナブルながら高性能・多機能で人気のFiiO「M11 Pro」で試してみる

AK4497EQデュアル搭載などの高性能と、2.5mm/3.5mm/4.4mmのジャックを搭載する多機能DAP「M11 Pro」と組み合わせ

まず1台目はFiiOのM11 Proである。本機はアルミボディにAKM製ハイエンドDACチップ「AK4497EQ」を左右独立2基搭載し、384kHz/32bit・PCM&11.2MHz・DSDまで再生が可能だ。THXの特許技術である「AAA-78」回路をフルバランス構成で用いたヘッドホンアンプが特徴で、3.5mmシングルエンド出力と4.4mm、2.5mmの両バランス駆動出力を持つ、実に使い勝手の良いモデルである。

EAH-TZ700との組み合わせではドライで色づけなく、音像の輪郭をハリ鮮やかにキレ良く描く。低域は弾力良くスムーズで、オーケストラのローエンドも見通し良い。ピアノやギター、シンバルの響きはブライトで余韻も爽やかにまとめる。アタックの質感も丁寧で、カラッとした倍音の煌きが加わり、ヌケが良い。

ボーカルは口元のハリ感をクールに描き、ウェットな質感も清々しく浮き立つ。ロックのリズム隊は密度高く引き締め、エレキギターのリフも軽快だ。ハイレゾ版の井口裕香「HELLO to DREAM」ではボーカルのキレ味が高く、口元のエッジがメリハリ良く前に出てくる。ベースの豊かさもバランス良く繰り出し、Aパートにおける休符での余韻も厚みを感じさせつつ、きっちりと抑え込む。

同梱ケーブルによるバランス駆動でのサウンドは分離感とキレ味が高まり、音像の輪郭がより明確に描かれる。オーケストラの響きもS/N良くクリアで、ソロパートの浮き立ちは立体的。余韻はナチュラルに染み渡る。

井口裕香「HELLO to DREAM」及び#2「We are together!!」における豊かなリズムのグルーヴも、質感良くベースとキックドラムを描き分ける。シンセサイザーの細やかさやボーカルの口元のニュアンスも緻密に表現。声の厚みも肉付きを感じさせつつ、輪郭を引き締め誇張感なくスムーズに際立たせている。

Cayinの真空管搭載DAP「N8」から、その狙いどころを的確に引き出してくれる

続く2台目はCayinのN8だ。PVDコーティングを施したステンレスの重厚なボディにはコルグとノリタケ伊勢電子が開発した新世代の真空管「Nutube(6P1)」を初段増幅部に積んだほか、M11 Proと同じAK4497EQを2基搭載し、384kHz/32bit・PCM&11.2MHz・DSDまでのファイル再生に対応している。

Cayin「M8」は初段増幅に真空管「Nutube」を搭載。半導体と切り替えることが可能だが、その違いをどう描いてくれるのだろうか

なお初段増幅部は、シングルエンド出力時に真空管Nutubeか半導体かを選ぶことができ、その音色の差を楽しめる点が特長だ。EAH-TZ700との組み合わせで、その音色の違いがどのように表現されるのか、個人的にも気になっていたこともあり、今回の試聴で選択したという背景もある。ちなみにバランス駆動は、同梱の2.5mm仕様ケーブルでは接続できないため、Clear force MMCX Ver.2の4.4mm仕様「Clear force MMCX 4.4φ Ver.2」を用いた。

EAH-TZ700とのシングルエンド接続でのサウンドだが、まず半導体初段増幅では非常に豊かな低域表現が印象的で、キックドラムのアタックも低重心でずしんと響く。リズム隊のグルーヴもしなやかで、シンバルやピアノの響きも厚みを持たせつつクールで華やかな倍音をクリアに引き立たせている。

ボーカルは口元のフォーカスが良く、リヴァーブの響きも澄み渡り、スカッとしたキレ味の爽快なタッチで表現。オーケストラの管弦楽器はハキハキとした立ち上がり・立下りの素早い旋律で描き、抑揚を緻密にトレース。ナチュラルな楽器の質感を正確に捉えるものの、ドライなテイストも支配的である。

「N8」の真空管サウンドをチェック

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