VGP審査員も務める評論家・折原一也が実力をチェック

【レビュー】JVC「HA-A10T」は“安心してオススメできる”高コスパ完全ワイヤレスイヤホンだ!

折原一也
2019年12月27日
JVCの完全ワイヤレスイヤホン「HA-A10T」。予想実売価格6,000円前後と国産大手メーカーの完全ワイヤレスイヤホンとしては最安値クラスで、一見するとただのベーシックな入門モデルに思えるがそれだけにとどまらない。アワード「VGP」ライフスタイル分科会のメンバー(筆者も審査員を務めている)から注目を集めたモデルなのだ。

HA-A10T

その理由は、予想以上の作り込まれた高音質を聴かせてくれたから。実売6,000円前後とは思えないサウンドを鳴らし、結果、VGP2020ライフスタイル分科会でコスパ大賞の栄誉に輝いた。それでは、その「HA-A10T」はどんなモデルなのか。レビューしていこう。

まず外見から見ていくと、本体は片側約5.2gと小型軽量。カラーリングは“スモーキー”と呼ぶマットな質感の仕上げで、ブラックの他にインディゴブルー、ミスティグレイ、ダスティピンクの全4色を展開している。なお、イヤーピースはスタンダードなS/M/Lの3サイズが付属している。

全4色のカラーバリエーションを用意

装着の際には耳に挿入して捻るようにするとフィット感も増す。今回のテストには本体色ブラックを用いたが、黒光りするようなクリアなブラックより、このくらい落ちついたブラックの方がファッションにも馴染むと感じた。なお、IPX5相当の防水対応なので普段使い程度であれば雨の日も安心だ。

装着したところ

本体には左右とも、指の先で押し込むクリック感のある物理ボタンを装備。最近は低価格モデルでもタッチセンサー搭載機が増えているが、何気なく触れてしまって誤操作を誘発してしまう可能性もあるタッチセンサーを避け、あえて物理ボタンで操作性に配慮した設計としている。

楽曲操作は左右ボタン両方に割付けられていて、1回押しで再生/停止、2回押しでボリューム調整、長押しで曲送り/戻しが可能。なおペアリングしたスマートフォンの音声アシスタント機能を起動することもできる。

Bluetoothのバージョンは5.0。対応コーデックはSBCのみと、ここだけ見ると音質面では不利に思えるが……音の良し悪しはスペックで計れないのがイヤホンの面白いところ。後述するようになかなかの実力を持っている。

イヤホン本体の連続再生時間は約4時間と、最新モデルとしてはやや短めかもしれない。だが、小型の充電ケースで2.5回の充電が可能で、合計約14時間の再生が可能だ。ケースと一緒に持ち歩けば通勤・通学くらいであれば一週間使い続けられると考えると必要十分なスペックだろう。15分の充電で約1時間使えるクイック充電にも対応している。なお、充電端子はUSB-microBを採用している。

充電ケース背面。USB端子はmicroB

スマホとの初回のペアリングは、両方のイヤホンを充電ケースから取り出ししばらくすると、R側が白くゆっくり点滅し、その後L側が赤白に点滅する状態になる。あとはスマホ側のBluetoothの設定で本機を選べばペアリングが完了する。一度ペアリングしておけば次回からケースから取り出した際に自動で電源が入り、再接続してくれるので手間いらずだ。

いよいよ、そのサウンドをチェックしていこう。今回はiPhoneとの組み合わせでチェックした。宇多田ヒカル『あなた』から聴いてみると、全体にバランスの取れたサウンド。やや肉厚な中域のボリューム感とともに女性ボーカルの存在感もシャープに引き立つ。低音の沈み込みも、量的なエネルギー感を伴った心地よさだ。バンドの演奏も埋もれずニュートラルに広がる。

RADWIMPS『前前前世 (movie ver.) 』のエッジの効いたギターリフも尖りなく聴ける上に、シンバルの高域は歯切れ良さも健在。男性ボーカルの歌声は極端には立てず、ギターの音と対等なバランスで音楽全体の情報量で聴かせる。

『アナザー・デイ・オブ・サン』を聴いても、ウッドベースの解像感や響きも艶やかだし、曲全体の解像感も上手く引き出している。

すべての楽曲で共通するのは、音楽全体の情報量をバランス良く出した上で、極端なクセがないこと。格安イヤホンは一見高スペックでも極端な音作りをしている機種も多い一方で、本機「HA-A10T」は数値的なスペックを追うのではなく、本質である音で勝負した日本メーカーらしい完全ワイヤレスイヤホンと言える。ひとつ上の価格帯である1万円程度まで含めて比べてみてもなかなか無い、安心してオススメできる絶妙なチューニングなのだ。

過去のVGPライフスタイル分科会コスパ賞に輝いたモデルは、実際に発売後にはユーザーからも高く評価され、大ヒットした機種も数多い。「HA-A10T」もそれに続くことだろう。

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