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石英の特性で不要な振動を可聴帯域外へ

【AAEx2020 受賞】オーディオリプラスのHG-HR石英スペーサー「RCS-25HR」の驚異的な効果を識る

公開日 2019/11/21 15:03 鈴木 裕
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音楽そのものを聴いているという快感に包まれる

左がそのままデノン「DL‐103」を装着した場合、右が「RCS‐25HR」を挟んだ場合。2.5mmの厚みがあるので、使用するときはアームの高さも2.5mm分上げる必要がある

まずDL‐103+RCS‐25HR。スペーサーのない状態に対してボリュームを上げたかのような音圧感で、音の背景も静かだ。空間の密度が明確に上がるが、左右のスピーカーの間、センターの密度が上がるだけでなく、スピーカーの外側にまでサウンドステージが広がり、再生のワクが大きくなっている。

音色感として特筆しておかなければいけないのは、低域だけでなく音が太くなること。アナログ好きとしては「この太さが欲しかった」という方も多いだろう。筆者もそのひとりだ。

ポップスやジャズでは演奏のグルーヴ感が良く出てくるし、クラシックのヴァイオリンコンチェルトでも音の切れ込みが良くなる。総じて言うと、音楽そのものを聴いているような感覚が強まるのが最大の美点だ。

Eminent GL+RCS‐25HRもカートリッジの性能が上がった分、その良さが拡大されている。背景が静かになり、さまざまな付帯音を除去している感覚で、楽器の鳴りや響き成分の聴こえ方が全然違う。

特に、ライヴ盤での客席の雰囲気や現場に漂っている空気感が濃密に出てくる臨場感は凄まじいものがある。最低域方向の音像は茫洋とせず、高い剛性感を獲得。ソロヴァイオリンの高域の倍音成分のきれいな伸び方も実にリアルで、マイソニックラボの持っている高いポテンシャルが俄然生きてくる。

レコードのサーフェスノイズが低くなっているのも不思議だ。スペーサーひとつでこんなに良くなってしまうものなのだろうか。

RCS-25HRは、カートリッジのボディがプラスチックでも金属でも、まったく問題なく効果を体感できるカートリッジスペーサーだ。ぜひ、体験して欲しい。

(鈴木 裕)

HG-HR石英とは


石英(クオーツ)は共振周波数(固有の歪み)が可聴帯域より上の領域にある。接触した素材との共振周波数の差が生まれるため、上下から伝わってくる振動(音速)の影響を断ち切ることができる。

「HR石英」とは、オーディオリプラスが、対応する周波数帯域をオーディオ用に最適化した石英で、HRはハイレスポンスの意。「HG-HR石英」は、HR石英をもとに、さらに不純物を取り除いて超高純度化し、削り出しにより成形したものである。

<Specification>
● 材質:HG-HRハイレスポンス高純度石英ガラス●外径寸法:2.5H×15W×25Dmm●質量:約2g●付属品:チタンネジ3種類、特殊樹脂ナット、化粧箱●取り扱い:オーディオリプラス(株)


本記事は季刊・アナログvol.65 Autumnからの転載です。本誌の詳細および購入はこちらから。

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