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ハイレベルな中での個性の違い

FAudioの新ダイナミックイヤホン「Minor」レビュー。あの「Major」と比肩しうる完成度

公開日 2019/11/18 06:00 高橋 敦
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“メディカルファイバー” は、FAudioのダイナミック型イヤホン全モデルの振動板に共通して採用される重要素材。名前の通り、本来は医療用途で使われている繊維素材だ。同社はその人間の皮膚のような柔軟性と薄さ、軽量性と減衰性に振動板素材としての可能性を見い出し、振動板として利用する技術を開発した。

エントリーモデルのPassionではメディカルファイバーを単独で振動板素材として採用、ハイエンドモデルのMajorはチタニウムと張り合わせたダブルレイヤー構造で採用しているわけだが、Minorは新たな手法として「ベリリウムによるコーティング」を施している。

Minorでは、ベリリウムコーティングを施したメディカルファイバー振動板をドライバーに採用

高い剛性と高い比重を持つ金属素材ベリリウムは、樹脂系振動板へのコーティング素材として、ここ数年で一気に一般的なものとなっている。しかしメディカルファイバーとの組み合わせはもちろん初だ。

ただでさえ優れた特性を備えているメディカルファイバーに、ベリリウムを絶妙な厚みでコーティングすることで、振動板としての剛性、重量、減衰性をさらに最適化したとのこと。Majorとはまた別の新しいアプローチが試されているところであり、ここが単純な下位モデルとは言い難いという印象の一因となるポイントだ。

ハウジング内のアコースティック設計は、既存モデルと同じく「トリプル・アコースティックチャンバー構造」を採用。二つの空気室と金属製音導管、合わせて三つのエアスペースによってダイナミック型ドライバーにかかる空気負荷を制御し、ドライバーのポテンシャルを引き出す。なお、アコースティックチャンバーの一角を担う金属製音導管は、Majorは無酸素銅だが、MinorはPassionと同じくステンレスを採用している。

金属製音導管にはステンレス製を採用

全モデル共通のポイントとして、ボーカルの聴こえ方を重視した「FA Vocal」と楽器の音にフォーカスしタイトな低域にチューニングされた「FA Instrument」、2種類の同社オリジナルイヤーチップを付属する。

「FA Vocal」(黒)と「FA Instrument」(白)に加えて、フォームタイプの「FA Form」も1ペア付属する

ケーブルは、Majorでは導体素材に軍需用クリスタル銅を採用したものが付属するが、Minorでは銀メッキ銅導体採用のしなやかで取り回しやすいケーブルを採用している。スペックとしてはPassion付属のケーブルと同等のようだが、イヤホン本体の色に合わせてだろうか、被覆をクリアにして銀メッキの輝きを生かしてある。

ケーブルのイヤホン側端子は2pinタイプ

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