聴覚保護やミュージシャンの観点からも製品を紹介

「リスニングケア」でヘッドホン/イヤホン市場に“再参入”。ヤマハ新製品発表会レポート

PHILE WEB編集部
2019年11月11日
既にお伝えした通り、ヤマハは本日11月11日、独自の音響補正技術「リスニングケア」を搭載した完全ワイヤレスイヤホン3モデル/Bluetoothイヤホン2モデルを発表した。本日、同社は製品発表会を開催。イヤホン/ヘッドホン市場における事業戦略や、新製品5機種のプレゼンテーションを行った。

ヤマハが新製品発表会を開催(画像は「TW-E5A」「TW-E3A」)

登壇した(株)ヤマハミュージックジャパン AV・流通営業部部長の野口直樹氏は、市場調査会社の統計データを元に、「世界中で約3兆円の規模があるというオーディオ市場の中でも、イヤホン/ヘッドホンはここ10年ほどで売上金額が約6倍もの伸びを見せている分野。特に完全ワイヤレスイヤホンの成長率は著しく、ノイズキャンセリングなどの高機能化も進んでいる。また、普及が進めば製品の単価は下がっていくのが一般的だが、完全ワイヤレスは普及した今でも1、2万円の製品が売れていたりと、むしろ単価が上がっている珍しい市場である」と指摘する。

ヤマハミュージックジャパン 野口氏

そのような市場に投入する今回の新製品について、野口氏は「ヤマハならではの価値を提供できる製品を開発できた、という手応えがある」と自信を語ると共に、新製品の発売をヘッドホン/イヤホン市場への“再参入”と表現。近い将来、ヘッドホン/イヤホン市場の2%、金額にして200億円規模のシェアを獲得するという具体的な目標も提示し、“再参入”の意気込みを強調した。

ヘッドホン/イヤホン市場への“再参入”と同時に、若い世代に同社製品を知ってもらう入り口としても位置づける

各製品の特徴については、同社AV・流通営業部マーケティング課課長の飯田哲也氏が解説した。飯田氏はヤマハブランドの強みとして「プロからコンシューマー、音の入口から出口までサポートする世界規模の楽器総合メーカーであること」を挙げ、またAVアンプに代表されるホームAV分野では、リアルな音響を再現する独自の信号処理技術を培ってきたと説明。今回の新製品でも、それらの特徴を活かしたと語る。

ヤマハミュージックジャパン 飯田氏

世界的な総合楽器メーカーとしての知見や、ホームAV製品での独自技術が強みと認識

今回発表されたのは、完全ワイヤレスイヤホン「TW-E7A」「TW-E5A」「TW-E3A」、ネックバンド型Bluetoothイヤホン「EP-E50A」「EP-E30A」の5製品。2019年12月から順次発売を予定しており、日本では世界に先駆けて発売される。

完全ワイヤレスイヤホン3モデル、Bluetoothイヤホン2モデルを2019年12月〜2020年2月にかけて順次発売していく

デザイン面では、いずれも楽器をモチーフとして曲線を多用し、加えて上位機種のTW-E7A/EP-E50Aでは光沢のあるパーツを採用することで高級感をアピール。ミドル〜エントリーモデルにあたるTW-E5A/TW-E3A/EP-E30Aでは、ブラック/ホワイトに加えて2020年のトレンドカラーとされているスモーキーブルー、スモーキーピンクの4色展開にすることで、20代から30代のいわゆる「ミレニアル層」に訴求するとしている。

完全ワイヤレスイヤホンとしての最新機能やヤマハならではのデザインを訴求

目玉機能として全機種に搭載されるのが「リスニングケア」だ。これは人間の聴覚の仕組み上、音量の大小によって高域や低域の聴こえ方が変化してしまうところを、どの音量でも常に聴こえ方のバランスが一定になるよう4バンドEQで補正するというもの。オン/オフの設定は専用のアプリから行える。

人間の聴覚特性の分析とホームAVで蓄積したノウハウを活用した「リスニングケア」機能を5機種全てに搭載する

さらに、上位機種のTW-E7A/EP-E50Aはノイズキャンセリングも搭載。外部の音声を取り込む「アンビエントサウンド」機能も盛り込むことで、耳への負担軽減や屋外で使用する際の安全性をさらに重視した設計としている。

飯田氏は、リスニングケアによりどんな音量でも設計で意図した通りの音質を楽しめると共に、小音量でも迫力や豊かな音を実現でき耳への負担も抑えられるとアピールした。

リスニングケアについては、(株)須山歯研代表 須山慶太氏が、聴覚保護の観点から機能の意義を補強する。耳をいたわりつつ音楽を楽しむ「セーフリスニング」を推進している須山氏は、ポータブルオーディオが音楽を手軽に楽しめる反面、「再生音量が大きすぎる」「周囲への注意が散漫になる」等のリスクに気づきにくい事を指摘。

須山歯研/セーフリスニング事務局 代表 須山氏

須山氏は耳をいたわりながら音楽も楽しむ「セーフリスニング」を推進している

その一方、音量を下げるほど低音が聴き取りにくくなり、迫力が失われていく人間の聴覚特性についても説明し、「ただ音量を小さくすれば解決する訳ではなく、音楽には聴くのに最適な音量がある」事も強調する。

その上で、リスニングケア機能では聴覚特性の分析とホームAV分野で培ったノウハウを活かし、小音量でも最適なバランスで音楽を楽しめる点が画期的と須山氏は評価。上位モデルに搭載されるノイズキャンセリング機能を加えれば、耳をふさぐだけでは抑制しにくい低周波も排除することができ、より耳に優しく没入感の高いリスニングができるだろうと語った。

リスニングケアは音楽の楽しさと耳の健康を両立できる機能と評価

プレゼンテーション終了後にはソウルバンド「WONK」とヤマハによるコラボPVの上映と、メンバーによるトークセッションが行われた。

本製品とコラボするグループ「WONK」のメンバーも登壇。製品についてコメントした

今回のコラボについて聞かれると「ヤマハは我々みんな子供の頃から使っていた楽器だから嬉しい」「子供の頃はヤマハ音楽教室でピアノを習っていた」などヤマハとの思い出を交えつつ、「海外ではライブ会場でイヤーマフを配ったりしてるけど、今の日本には耳を守ろうっていうカルチャーがまだ浸透していない。そういう観点でいうと、リスニングケアという取り組みはとても意義がある」と聴覚保護の重要性をアピール。

また製品の感想についてに尋ねられたメンバーは、

「最初の印象は『すごく綺麗に音が抜ける』。中高域が綺麗で、他のイヤホンやヘッドホンだとゴリッとした音のものが多いけど、いい意味でそういう部分がないのが良かったです」(ボーカル長塚氏)

「イヤホンによっては高域がキツく感じられるものもあるけど、この製品はそういったこともなく、音楽が綺麗に聴こえてきました。今回のコラボ楽曲とも相性がいいですね」(ドラムス荒田氏)

「いい意味で最近の流行っぽくない。低音をガッツリ出すクラブ系サウンドではなく、モニター系に近い低域のスッキリさで、中音やリヴァーブが綺麗に聴こえるところがオススメポイントだなって思いました」(ベース井上氏)

「業界標準になっているヤマハのモニタースピーカーに近いなって思いました。僕はどちらかというとガジェットマニアで、クアルコムの新しいチップで動作時間が伸びたとか、端子がUSB-Cになっているところが嬉しいですね。ポケットに入れて嵩張らないサイズ感もいいです」(キーボード江崎氏)

と各自の受けた印象を語り、「最近色んなイヤホンが出ている中、ここまで独自性、利便性を兼ね備えた高品質なものはなかなかないので、ぜひ試してみてほしいです」と締めくくった。

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