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[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域

【第235回】FitEarハイブリッド第1期最終回!静電型トゥイーター+ダイナミックな「FitEar DC」登場!

2019/08/15 高橋 敦
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音質レビュー!キレッキレのレスポンスとナチュラルな質感!

それではいざ試聴!まず、Air2およびESTと随時比較しながらの印象をざっくりまとめると、
「高域の質感表現は絶妙のタッチ!」(ESTほどナチュラルではなく、Air2/Titanほどハードでもない)
「中低域レスポンスは(Air2と同じく)キレキレ!」
「タイトな音像で余白余裕のある空間表現!」

といった感じだった。

一般的なロングレッグなMH335DR SRのとの比較

ミドルレッグなESTよりもさらに少し短い

最初に、悠木碧さん「レゼトワール」や相対性理論「夏至」の女性ボーカルやハイハットシンバルなどで、高域のシャープな成分をチェック。既存モデルだと、Air2はそれらの鈴鳴り感を生かしてカチッと硬質に届けてくれるタイプ、ESTは適度にほぐしてしっとりとしたタッチで届けてくれるタイプだ。

DCも基本的には、フルレンジドライバー側が共通するAir2と同じく、適度に硬質なタッチが持ち味。しかし静電型トゥイーターとのコンビネーションによってか、その硬さが絶妙に和らげられており、より自然と感じられる音色になっている。

中低域の傾向は、バンドサウンドの早見沙織さん「メトロナイト」やクラブサウンドのRobert Glasper Experiment「Human」などで確認。音の立ち上がりの速さ、余計な余韻を残さずすっと抜けていく音離れの良さなど、総じて音のキレは素晴らしい。ここはAir2等と共通のインラインダブルダイナミックドライバー構成の威力が大きいだろう。

中低域のキレは低音楽器だけではなく、例えばラップ的なスタイルのボーカルなどでも実感できるかと思う。クラブ系の超低域まで沈み込む重低音をまったく緩ませることなくタイトでいてディープに描き出してくれるところも見事。

また、ESTはベースやドラムスもスムースな感触なのに対して、こちらDCはガツンとしたアタックと芯によって荒々しさや力強さも存分に表現。よりロック的な印象だ。

そして、音が無駄に膨らむことも無駄に滞空することもなく、キレキレで抜けていくおかげで、その空間表現には十分な余白が生み出されている。その余白が背景となることで、音の細やかな響きや空間系エフェクトによる処理までの見晴らしも良好。

Air2/Titan好きもEST好きも要チェック!

FitEar DCのこのサウンドは、既存のAir2/TitanおよびESTと並べた場合、ユーザーにとってどのようなポジションになりそうだろうか?

左からAir2、DC、EST。DCの厚みはシリーズ最大級っぽいがそれでも装着時の安定感には何の問題もなし!なのがFitEarクオリティ

Air2/Titanの音が好みな方にとっては、その基本は維持しつつ主に高域側の感触に自然さを増したバリエーションとも言えるDCは、実に悩ましい選択肢になってくることだろう。ESTの音が好みな方にとっても、EST的な滑らかさに少し寄せつつもESTにはないガツンとくる迫力を備えたDCは、ESTとの使い分けを考えた時に、ちょうどよく魅力的なのではないだろうか。

もちろん、既存のFitEarユーザーのみがチェックするべきモデルだなんてことではない。ダイナミック2基直列構成ならではのキレのあるパワフルさは、イマドキのロックサウンドやエレクトリックサウンドなどに特に合う。それでいて静電型トゥイーターによって整えられた高域側には聴きやすさもあり、ボーカルの感触も素直だ。

つまりこのFitEar DC、現代的オールラウンダーとしての完成度が普通に高い。良いイヤモニを欲するすべての人に検討してみてほしいモデルだ。

そしてFitEar DCによって“FitEarハイブリッド第1期”が見事な大団円で最終回を迎えた今、この台詞も言わずにはいられない……
FitEar先生の次回作にご期待ください!
注)打ち切られてません

高橋敦 TAKAHASHI,Atsushi
趣味も仕事も文章作成。仕事としての文章作成はオーディオ関連が主。他の趣味は読書、音楽鑑賞、アニメ鑑賞、映画鑑賞、エレクトリック・ギターの演奏と整備、猫の溺愛など。趣味を仕事に生かし仕事を趣味に生かして日々活動中。


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