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多彩なソース対応、オーディオ性能もさらに進化

最小筐体に込めたマランツの誇り。パラレルBTL対応のオールインワン・オーディオ「M-CR612」を聴く

公開日 2019/06/21 06:00 岩井 喬
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そしてケーブルを追加しバイアンプ駆動も試してみる。音像の締まり感や空間性の豊かさはパラレルBTLドライブとも共通の変化であるが、よりきめ細やかさが増し、しなやかで弾力良いサウンドだ。楽器やヴォーカルの鮮度感やウェットな表現はより高まり、生々しい音像が分離良く浮き立つ。臨場感に溢れ、立体的な音場が広がり、オーケストラの旋律も緻密に描き出す。音離れの良さにおいてはバイアンプ駆動の方が優れる印象だ。

最後にネットワーク環境のサウンドも確認した。USBメモリ再生より穏やかな音調でスッキリとしたニュートラルな音質傾向だ。ストリーミングはSpotifyで試してみたが、ハリ良く明瞭なサウンドで、リズムのアタックもタイト。やや硬質であるが、エッジの粗さが気になるようなことはなく、クリアで耳当たり良い。質感も悪くなく、普段から活用できるレベルのサウンドだ。

HEOSアプリ(¥FREE)を導入すれば、さまざまなデジタルファイルを手元で直感的に再生することができる。iOS、Android対応

M‐CR611でも十分高音質であると感じていたが、改めてM‐CR612を聴いてみると、空間表現力や透明感、質感描写性で一枚も二枚も上手である印象を受けた。パラレルBTLドライブも効果が高く、HEOSによる機能性向上も大きな魅力となっている。より上位のスピーカーと組み合わせてもバランス良く鳴らしてくれそうな、コンパクトモデルの枠に収まらないハイCPシステムだ。

(岩井喬)


<M-CR612 スピーカー組み合せチェック>

B&W「707S2」 ¥157,000(ピアノブラック/ペア/税抜)

価格バランスとしてはやや高級なチョイスだが、大きさや色のバランス、相性も良い。バイアンプ駆動でより真価を発揮。コンティニュアムコーン・ウーファーが持つ素直さ、カーボンドーム・トゥイーターが生み出す立体的な空間性をより堪能できるだろう。パラレルBTLではパワフルさ、音像の逞しさを軸としたリアルな音を楽しめる(岩井)。

B&W 707S2¥157,000(ピアノブラック/ペア/税抜)との組合せ


DALI「OBERON1」 ¥57,000(ペア)

価格的にバランスが取れた組み合わせだ。シングルワイヤ機であり、標準モードではウッドファイバー・コーン・ウーファーの伸び良く豊かな低域を艶やかにまとめ、ハリ良く滑らかな高域と両立。立体的空間が広がる。パラレルBTLでは低域のダンピングが高まり、臨場感が増す。ピアノの低域弦のうねりも明快。S/N良く上品なサウンドだ(岩井)。

DALI OBERON1¥57,000(ペア)との組合せ


本記事は季刊・NetAudio Vol.34所収記事を転載したものです。本誌の購入はこちらから。

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