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多彩なソース対応、オーディオ性能もさらに進化

最小筐体に込めたマランツの誇り。パラレルBTL対応のオールインワン・オーディオ「M-CR612」を聴く

公開日 2019/06/21 06:00 岩井 喬
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上位機種のアンプ技術を継承し低ノイズ化を実現

M-CR612の核心部である60W+60W(6Ω)の出力を誇る、フルバランス・クラスDパワーアンプは従来から継承しているものであるが、PM-10やPM-12などのハイエンドプリメインアンプの開発過程で得たノウハウを活用し、周辺回路を刷新。従来からパワーアンプには専用の電源回路を採用していたが、新たにその前段であるPWMプロセッサーにもローノイズタイプの専用の電源回路を搭載し、電源由来ノイズを大幅に低減させた。

また、この電源周りに低ESR導電性ポリマーコンデンサーを取り入れてさらなる低ノイズ化を実施。より見通しの良いクリアなサウンドを獲得したという。

M-CR612のメイン基板。高分子電解コンデンサは複数のメーカーのものを、それぞれ適切な場所に配置することでノイズの低減と高音質の両立を実現

ネットワーク基板も前モデルから強化。HEOSモジュールの搭載に加え、ネットワークは2.4GHz&5GHzの双方に対応。AirPlay2にも新たに対応する

この他、クロック素子にはSA-12に用いているものと同じ超低位相雑音クロックを採用。パワーアンプ用電源にはハイスピードかつ容量の両立を図ったカスタム電解コンデンサーを、そしてローパスフィルター回路には本機専用設計のOFC線とマンガン亜鉛コアによるインダクターや高音質フィルムコンデンサーを取り入れ、細やかなチューニングを施している。

加えて左右チャンネルの音質差を解消するため、グラウンドラインを含めて左右対称レイアウトを実施。電源ラインも左右独立させてセパレーション向上を図るとともに、グラウンドラインの最適化によりさらなる低インピーダンス化を進め、ダンピングファクター向上に結びつけている。

外観においてはこれまで踏襲してきた左右対称レイアウトや3ピースのパネル意匠、スターマークを取り入れた上品なデザイン性を継承。シルバーゴールドモデルに対しては従来ハードコート・アクリルトップパネルの色がブラックであったのを本体色と同じシルバーゴールドへと変更し、明るく統一感のある印象を持たせている。


パラレルBTLモードでは音像を引き締めS/Nが向上

試聴ではバイワイヤ対応のB&W 707S2を用意。再生音源はUSBメモリに保存したものを用いた。まずはシングルワイヤで繋いで標準モードで聴いてみたが、本機の価格バランスより上位となる707S2であっても難なくスムーズにドライブしている印象だ。低域もダンピング良くまとめ、音場の見通しは深い。透明度も高く、ピアノやシンバルの響きもクリアにまとめ、オーケストラもS/N良く爽やかに描き切る。

Spotifyを再生中のM-CR612

ここでアンプモードを新たに設けられたパラレルBTLへチェンジ。まず大きく変化するのが、音像の引き締め効果の高さと音場のS/Nの向上だ。パワフルで押し出し良いサウンドであるが、ひとつひとつの楽器の描写はていねいで、質感も鮮明につかみ取れる。ヴォーカルもシャープに定位し、キレ良く澄んだサウンドが展開。リアルで情報量豊かな空間が広がる。ケーブルも繋ぎ換えしなくてもよいので、非常に簡単にその効果を味わえるのが良い。

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