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【特別企画】コスパの高さが凄まじい

ついに完全ワイヤレスイヤホンはここまで来た! AVIOT「TE-D01d」は接続性も音質も常識破りだ

2019/02/09 折原一也
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完全ワイヤレスイヤホンの “高音質” を上のステージに引き上げる水準

では最新モデルTE-D01dについて、先行モデルTE-D01bのレビュー(関連記事)と同じ曲を中心に試聴して、サウンドをチェックしてこう。

まず宇多田ヒカルの「あなた」を聴いたが、第一印象として語るべきは先行モデルから重低音の量感を相当分引き上げたことだ。情報量志向な音はそのままに、重低音の沈み込みの深さとグルーブ感、そして低音のなかの見通しとセパレーションを出すタイプ。中高域では歌声が良く通り、高域の抑揚まで伸びやかに聴けることが美点。コーラスの加わった時の調和の美しさは特筆ものだ。

スマホと接続してサウンドをチェック

RADWIMPSの「前前前世 (movie ver.) 」は、冒頭のギターリフからハイスピードに鳴らしつつ、まったくキツさを出さず、それでいてスピード感を出すという本機の稀有な表現力の高さを実感させる。特に楽曲のなかで確かな存在感を伝えるキックドラムの正確なリズムの刻み。楽曲に振り回されず、余裕たっぷりの情報のなかで唸るベース。エレキギターと対になるようなバランスで引き立つ男性ボーカルも引き込まれる。「前前前世 (movie ver.) 」はイヤホンの弱点が現れやすい楽曲なのだが、それを情報量と素性の良さで楽々鳴らし切るのだから驚くほかない。
 
カラヤン指揮の「ヴィヴァルディ 四季」でも、素性の良さがストレートに発揮される。特に冒頭からの弦楽器の繊細な音は、歪っぽさをまったく出さず、エッジを立てることもなく、丁寧に伸ばす。オーケストラの弦楽器の鳴らし分け、その解像感も極めて良い。そして、弦楽器の抑揚のダイナミクスを繋がり良く引き立てること。ワイヤレスイヤホンで真っ先に音の歪みが出てしまうオーケストラを、むしろ得意ジャンルにしてしまっているのだ。

最後に映画『ラ・ラ・ランド』のサントラよりジャズ音源「アナザー・デイ・オブ・サン」は、やはりAVIOTの音と素晴らしく相性が良い。例えばピアノは、音の自然さだけでなくタッチや音の弾み、瑞々しさも端々に現れ、音の情緒感の域に踏み入れる。男女ボーカルの歌声は、若干立つ形で音楽の中で存在感を出す。ジャズのウッドベースは重心の低さとともに、低音のなかでの音の見通しを備えてリズムを刻む。

プレーヤーをハイレゾスマホ「GRANBEAT」に変更して同じ曲をaptXコーデックで聴き込むと、空間表現としては一段狭くなる一方で、個々の音がダイレクトに届くようになり、よりストイックに情報を引き出した。特にボーカルの声の息遣いと抑揚といった表現力は、aptXが一枚上手。低音の量はAACより落ち着き、より重低音のなかでの見通しも克明となる。

☆ ☆ ☆


TE-D01bも完全ワイヤレスとは思えない程に情報量志向のサウンドを備えたイヤホンだったが、TE-D01dが到達している音のステージはもう一歩先。有線イヤホンにハマった経験のある人なら、例えば出来の良い数千円クラスのイヤホンによる “十分にクリア” と呼べる音から、1万円以上クラスで情報量の世界を体験し、さらに上の価格帯のイヤホンでは情報量を超えた個々の音の彩りや情緒の世界に踏み入れる、そんな高音質化の経験を持つ人も多いのではないだろうか。

TE-D01dは、すでに音の彩りや情緒までも伝わる世界に届き始めている。これは完全ワイヤレスイヤホンとして未踏の領域だ。

そしてTE-D01d最後のサプライズは12,000円(税抜)という価格。これはTE-D01bの14,800円(税抜)より値下がりしている。完全ワイヤレスイヤホンのなかでは中価格帯だが、優秀な接続安定性、そしてサウンドクオリティを含めると、極めてコスパに優れた機種と呼ぶほかない。

AVIOTが2019年の第一弾として送り出したTE-D01dの完成度、そしてコスパの高さは凄まじい。接続性でも、高音質でも、バッテリー駆動時間でも、2019年の完全ワイヤレスを語る上では、TE-D01dが新基準となることだろう。

(折原一也)

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