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上位機の技術を継承しつつ小型化も実現

ラックスマンのレコードプレーヤー「PD-151」レビュー。ベルトドライブならではの音楽性と明晰な表現を両立

公開日 2019/01/23 06:38 岩井喬
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ジャズではディティールまで丁寧に引き出す描写力が際立つ

ジャズ音源に対しては、より音像にフォーカスした明晰なサウンドで、アタックの素早さ、楽器のディティールの丁寧な描写性が際立つ。ピアノはクリアなタッチで、ハーモニクスもしなやかに響かせ、ウッドベースもハネ良く弾力に満ちた艶やかな音像として描き出す。

中でも感心したのがドラムセットの密度良く自然な描写性で、キックドラムの空気が動く感触までリアルに捉えていた。ホーンセクションの浮き立ちも立体的で、余韻の見通しも生々しい。ボーカルは潤い良く、艶良い口元の輪郭をスッキリと描写。ボトムも自然な肉付き感で、低重心な安定感を放つ。女性の声やリヴァーブの表現も瑞々しく丁寧である。

ロック音源ではより開放的で、抜けの良いスッキリとしたアタックを聴かせるリズム隊と、爽やかでシャープに定位するボーカルの明瞭な音像感が味わえた。エレキギターのサウンドを濃密で倍音成分を豊かに、伸び良く表現する様も見事だ。ドラムセットやシンバルワークの質感も粒立ち細かく丁寧で、シンセサイザーの響きも分離良く煌びやか。スムーズで伸びやかな音像の表現は曲の最後まで安心して聴いていられる、耳当たり良いものである。



トーンアームは上位機種そのままであるため、純粋に筐体構造やターンテーブルまわりの違いがそのままサウンドとして反映されているわけであるが、価格差の分、より音楽に寄り添った表現の幅や、ディティールの丁寧な描写性にグレード感が表出しているようだ。しかしその差は大きなものではなく、例えば現代的なポピュラー系音源を楽しむのであれば、PD-171AよりPD-151の方が相性の良い音を聴かせてくれるように感じた。

きめ細やかに回転数を制御する機能と、ベルトドライブ方式の持つ流麗なサウンド性を高い次元で融合させた、本格派アナログプレーヤーの堪能するのに最適な一台といえる。

(岩井 喬)


■試聴音源
〇エルネスト・アンセルメ指揮/スイス・ロマンド管弦楽団
『ムソルグスキー:組曲・展覧会の絵』 - プロムナード、バーバ・ヤーガの小屋、キエフの大門
(キングレコード:KIJC-9117/スーパーアナログディスク仕様)
〇オスカー・ピーターソン・トリオ
『プリーズ・リクエスト』 - ユー・ルック・グッド・トゥ・ミー
(アナログ・プロダクションズ:AVRJ8606-45/45回転盤)
〇『Pure2-Ultimate Cool Japan Jazz-』 - 届かない恋、夢であるように
(F.I.X.RECORDS:FIJA-007/008)
〇TOTO「I’LL BE OVER YOU」
(CBS:650043-6/12インチ・シングル/英国盤)


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