[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域:第222回

イヤホン&ヘッドホン素材辞典[アコースティック編]金属・合成樹脂・新素材まるっと総まとめ!

高橋 敦

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2019年01月18日
はじめに&フォーマットについて

近年のイヤホン&ヘッドホンには「グラフェン振動板」など使用素材を強くアピールしている製品も多い。グラフェン! 確かになんだかすごそうだ。

グラフェンコート振動板を採用した、パイオニアのハイレゾ対応イヤホン「SE-CH3T」の構造図

しかし「具体的にどういう素材で、具体的に何がすごいのか」と言われると、それは把握し切れていないという方もいらっしゃるだろう。

そこで今回は、今の時点でこれくらいを押さえておけば大部分を把握できるはず! という代表的な素材を網羅した『イヤホン&ヘッドホン素材辞典』をお届けする。

「アコースティック編」という感じで、ケーブルの導電体や外被、ドライバーのマグネットなどは除外。ハウジングや振動板、ノズルや内部フレームなどに使われる素材をピックアップし、以下の大分類ごとにその基本情報を紹介していく。
●金属
●合成樹脂
●新素材および特殊素材
各分類内での並びはシンプルにあいうえお順だ。

書式については共通のコンパクトなフォーマットでまとめた。その中の下記のような特性評価グラフを設けている。

--
頑強性 柔|・・■・・|硬
比重  重|・・|・■|軽
加工性 難|・・|・■|良
--


それぞれの意味合いは、以下のとおりだ。
頑強性:硬さや粘り強さなど強度全般の総合評価
比重 :単純に比重(「軽い割に頑強」などは考慮しない)
加工性:切削性、圧延性、3Dプリンティングなどの総合評価

注意点として、特性評価は「同系統の素材の中での相対評価」だ。
例えば金属の真鍮と合成樹脂の液晶ポリマーが同じく、
比重 重|・■|・・|軽
であっても、真鍮と液晶ポリマーが同じ比重同じ重さということではなく、それぞれ「真鍮は金属としても重め」「液晶ポリマーは合成樹脂の中では重め」と読んでほしい。

なお今回は目新しさのある素材を中心に紹介したいという意図から「木材」については省略。金属についても前述のようにコンパクトな記述だ。それらを詳しく確認したいという方は、以下の過去記事を参照していただければと思う。
オーディオ木材大全 音と木の関係をまるごと紹介
オーディオ金属大全 音と密接に関わる「金属」を知る

金属類 - 強度が必要な部分での主役

イヤホンやヘッドホンにおいて強度が必要な部分での採用例が多い素材としてまず挙げられるのは金属類。全般的な特徴として、頑強でいて曲げやすさや伸ばしやすさ、削りやすさなどの加工性にもおおよそ優れ、合成樹脂類ほどではないが様々な形に成形しやすい。硬さや耐久性が求められる部分の主力素材だ。

▼アルミニウム合金 “現代金属のスタンダード”
種属:金属 別称略称等:アルミ合金、アルミ
使用箇所:ハウジング、振動板、フレームなど全般
特性  金属内での相対評価
頑強性 柔|・・■・・|硬
比重  重|・・|・■|軽
加工性 難|・・|・■|良


軽いのだが柔らかすぎる“アルミニウム”を主成分として、他の金属を合わせ、軽さは維持しつつ強度等を引き上げた合金。成分比率によって強度、耐久性、耐食性、加工性などの特性が異なる。上記の評価は「総じて」のもの。製品説明で単に「アルミ」と書かれているものも、実際はアルミ合金である場合が多い。

▼ステンレス鋼 “錆びない鋼”
種属:金属 別称略称等:ステンレス、ステン
使用箇所:ハウジング、フレーム、ヘッドバンドなど全般
特性  金属内での相対評価
頑強性 柔|・・|■・|硬
比重  重|・■|・・|軽
加工性 難|・■|・・|良


鉄を主成分に、僅かな炭素と約10%以上のクロムを合わせた合金。鋼としての特性に加えて、化学的な耐食性が飛び抜けて向上しており、ほぼ「錆びない」と言える金属。頑強かつメッキ処理なしでも錆びないということで、特に耐久性が必要な箇所、そしてその曇らない輝きが美観として必要な箇所への採用も多い。

ジェラルミン/ジルコニウム合金/真鍮/タングステン/チタニウム/銅/鋼

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