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低音をほどよく締めるのに効果大!

手軽な設置で大幅な音質向上。オーディオ評論家がヤマハの調音パネル「ACP-2」を導入レポート

公開日 2018/12/11 06:30 土方久明
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(4)フロント3枚+リア2枚「効果抜群!音の粒子が浮き出るように」

(3)の状態から、最後にリアに2枚パネルを追加した。ちょうど試聴位置の斜め後ろにドアがあり、その影響を低減させたかったのと、背面からの反射で返ってくる低域の影響を低減させることが目的だ。

これが効果抜群で、音階がよく分かるようになり、ひとつひとつの音の粒子が浮き出るようになった。ベースなどの低域もさらにリアリティが増し、オーケストラを構成する各楽器の位置関係が明瞭に分かる。背面部の対策がここまで効果的だとは予想外で、最終的にパネル5枚の構成に落ち着いた。

フロント3枚、リア2枚を設置。トーンの正確さが増し、楽器の位置まで明確に。この形を土方氏は最終形とした


配置<4>の設置位置


スピーカー背面に置く形がもっとも効果大。手軽な設置性にも感動

テストを行ってみて判明したのは、パネルをスピーカー背面に2枚使用した形が一番効果的で、さらにフロントセンターやリアを追加することで音質を上げることが可能ということ。使用しているSpecial Fortyがリアバスレフであることも大きいだろう。今回は1次反射面となる左右面に筆者手持ちのパネルを使ったが、ここにACP-2を追加しても良いと思う。

使用しているSpecial Fortyはリアバスレフなので、後方にパネル を設置した時、その効果が大きかった

このACP-2は音に対する悪影響が少なく、音を殺さないという大きなアドバンテージがある。また導入後に大きなメリットがあることにも気がついた。それは、パネル設置後にあらためてスピーカーセッティング行った時の音質向上幅だ。まずは、何もない状態でスピーカーのセッティングを詰め、その後にパネルを導入する。そして、ある程度音が決まった後に、さらにスピーカーを微調整すると、大幅に音質を上げることができたのだ。

フロントは2枚、スピーカーの後ろに設置した時に高い効果が確認されたが、さらにセンターに足した方が良いかを何度か試し、結果フロントは3枚に。位置も色々試して、外側2枚をフロントセンターより若干壁から離して設置した

本製品はスリムな外観から受ける印象を上回る、高い音質向上効果を発揮する。ルームチューニングは、吸音と反射をコントロールすることがコツと言えるが、このパネルは1枚で吸音と反射(散乱)の効果を同時に生み出すことができるのだ。部屋の音響特性を良くすることは音を良くするための近道ということをあらためて認識した。

また薄型なので部屋のスペースも取らず、軽量で動かしやすいことから、角度や位置調整が容易でどんどん音を追い込める。カラーも3色用意されているので、インテリアに合わせて導入できるのも嬉しいポイントだ。ACP-2を導入して大満足である。

以上の内容から、今回のテストで実感したACP-2のメリットは以下の4点にまとめられる。

・比較的容易に音質改善が可能。部屋を作り変える必要がない
・「薄型」でも低域の吸音効果がある
・表面が硬いので高域部の吸音が少なく、拡散効果がある
・デザインがシンプルで美しい。薄いから部屋のスペースを取らない


最後に、我が家に遊びに来てACP-2の効果を体験し、後日購入した筆者の知人が何人もいることを特筆しておこう。皆一様に、その調音効果の高さと手軽な設置性に感動していた。

(土方久明)


【問い合わせ先】
ヤマハ(株)調音パネルお客様相談窓口
TEL:0570-055-808
受付時間:月曜 - 金曜(祝日および規定休日を除く)9:00 - 12:00、13:00 - 17:00


本記事は季刊・オーディオアクセサリー 171号 WINTERからの転載です。本誌の詳細および購入はこちらから。

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