【特別企画】新旧モデルを比較試聴

セパレート型AVアンプの到達点がここに。ヤマハ「CX-A5200/MX-A5200」の進化を探る

山之内 正

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2018年12月10日
パワーはGND改善に加え、剛性強化や低インピーダンス化も

11chアンプを内蔵したパワーアンプ「MX-A5200」の音質改善策は、信号用GNDと共通GNDの分離(GNDセンシング回路)、剛性強化(2mm厚ボトムカバー)、低インピーダンス化(給電用線材の大径化)、フロント2chのブリッジ接続対応などが目を引く。

「MX-A5200」

いずれも確実な効果が期待できる技術とノウハウであり、アンプの本質に関わる改善策である。筐体グラウンドと音声信号のコールド側を基板レベルで分離するGNDセンシング回路は、S/Nとセパレーションを改善する手法として注目に値する。

MX-A5200の筐体内部

11ch分のパワーアンプは筐体の左右側面に配置されている

筐体内の回路・基板構成は基本的にLR各チャンネルを左右対称に配置したシンメトリカルなもので、セパレーションの向上と正確な空間再生に貢献しそうだ。出力はチャンネルあたり230W(6Ω)に及び、FRONT(CH3端子)出力については4Ωのスピーカーも不安なく駆動できる点も心強い。


ステレオ再生ではS/Nの向上やダイナミックレンジの向上を一聴して実感

比較用に用意したCX-A5100/MX-A5000と聴き比べながら、A5200シリーズの再生音を確認しよう。なお、ステレオ再生から11ch(7.2.4ch)まですべてバランス接続で、ケーブルの導体はPC Triple Cで統一した。

ヤマハの試聴室に用意された新旧モデル。左側に配置されたのが最新のCX-A5200/MX-A5200。右側に配置されたのがCX-A5100/MX-A5000だ

まずはステレオ再生で新旧モデルを比較する。ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番は、教会の鐘を模した冒頭のピアノを聴いただけでもハーモニーの純度とS/Nが上がっていることに気付く。低音から高音まで帯域間バランスを正確に再現しないと和声感が曖昧になってしまうのだが、そこになんら不安はなく、澄み切った響きが美しい。

最弱音でも一音一音がクリアに立ち上がり、クレッシェンドの頂点でも響きが飽和しないのはもちろんのこと、オーケストラが入ってフォルテシモに至ってもまだまだ余裕がある。ダイナミックレンジが広がったように感じるのは無音と弱音が以前よりも静かになっているためだろう。第3楽章冒頭はスタッカートの短い音符が弱音でも鮮やかに発音し、リズムの形がはっきりわかる。

プリアンプの電源強化やパワーアンプの低インピーダンス化は大音圧での瞬発力改善に効くはずだ。ルーセル『バッカスとアリアーヌ』の導入部を聴くと、案の定トゥッティの押し出し感が一段階強まっている。大太鼓の一撃や駆け上がる低音のフレーズにぶれがなく、一音一音を粒立ち良く再現するのは、筐体とシャーシの剛性を強化したことも影響していると思うが、いずれにしても音数が多い強奏時に響きが混濁しないのは気持ちが良い。セパレートアンプを選ぶ醍醐味でもある。

CX-A5200はメイントランスの容量を従来から2倍とした

MX-A5200とMX-A5000の内部配線ケーブルを比較。いずれも太い方がMX-A5200のもので、この径のアップが低インピーダンス化に大きく貢献するという

この曲では、MX-A5200のフロント2chをブリッジ接続に切り替えた場合の音の変化も確認した。ティンパニと大太鼓の音色やアタックの違いに加えて、ヴィオラや第2ヴァイオリンが刻む内声のリズムに躍動感が生まれ、高揚した雰囲気を生々しく引き出すなど、確実なメリットを聴き取れる。

リアパネルの表示通りにつなぎ方を変えて端子部の専用スイッチを切り替える必要があるが、フロント左右にブリッジ接続を常用する場合を想定した装備なので一度設定してしまえば不便はない。ブリッジ接続でもMX-A5200は9chアンプとして使えるので、7.2.2chなど用途は広い。

CX-A5200の背面端子部

MX-A5200の背面端子部

ジャズの音源はガラーティのピアノトリオを聴いた。ピアノのレガートがなめらかでニュアンス豊かに音色を描き分けることと、ベースとドラムの低音に余分な音が乗らず、クリアに減衰することが前作からの一番大きな進化である。ジャズの録音としてはアコースティックを豊かにとらえているので、楽器同士で響きが共鳴する様子も余さず伝わってくるし、さらに言えばリスナーも同じ空気を共有しているような臨場感、生々しさという点でも新しいペアで聴く方が鮮度の高さが際立つ。

サラウンドでは圧倒的な密度の高さと空間の一体感を味わえる

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