バイアンプ駆動の検証も

2chじゃダメなんですか? マランツ「NR1609」で5.1.2chと2chの映画再生をガチ比較

土方久明

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2018年11月10日

NR1609に限らず、現行のAVアンプの多くはUSBメモリー再生やネットワーク再生などオーディオ再生で利用できる機能が多く備わっている。となれば、AVアンプ1台で、マルチチャンネルだけでなくステレオ再生を存分に楽しみたい方も多いだろう。

本機の音楽再生スペックは充実。HDMIのほか、光/同軸デジタル、アナログ、MM対応のフォノ入力も装備している。BluetoothとWi-Fiも内蔵している。

さらには、同社のネットワークプレーヤーで採用が進み、良好な操作性で評価が高まっているネットワークモジュール「HEOS」も搭載。Spotify・AWA・Amazon Musicなどのストリーミングサービス、インターネットラジオ、ローカルネットワーク上のNAS、USB外付けハードディスク/メモリからの再生にも対応する。つまり本機はAVアンプながら、単体ネットワークプレーヤー同様の再生能力を備えるのだ。

フロントスピーカーにはDALI「RUBICON 6」を使用

では、肝心の音質はどうだろうか。DALIのフロア型スピーカー「RUBICON 6」を用い、基礎となる2チャンネル再生で音質を確かめてみた。NR1609のフロントにあるUSB端子に、外付けUSBメモリーを接続し、女性ジャズボーカルのキャンディス・スプリングス「インディゴ」から『シンプル・シングス』(44.1kHz/24bit)を再生する。

どのくらいのレベルの音が出るか興味津々だったが、これが予想以上に良い。イントロのボーカルには透明感があり、聴感上のS/Nが高いことを実感させられる。さらに、彼女の父親であるスキャット・スプリングスのボーカルが混じり合うところでは、解像感の秀逸さがわかる。何よりも音像が立体的で、Hi-Fiオーディオ機器としての基準で聴いても、その能力の高さを感じる。

音楽の試聴を行う土方氏。AVアンプだが、オーディオ的な尺度で聞いても能力の高さを感じる

続いて、オーケストラ音源のアンドリス・ネルソンス『ショスタコーヴィチ: 交響曲 第4番&第11番「1905年」 / ボストン交響楽団 』(96kHz/24bit FLAC)を聴くと、こちらもマルチチャンネル対応のAVアンプとは思えない情報量を聴き取れた。もちろん高価格帯の高級オーディオアンプと比べれば、全帯域の密度感など同様とはいかないが、価格を考えればかなりの実力。再生能力の不足は微塵も感じられない。

7chアンプより2chアンプのほうが、アンプ1chあたりにコストがかけられるのは自明の理だが、オーディオの音作りはそう単純なものではない。ピュアオーディオで多くの銘機を開発してきたマランツの技術力が、存分に投入されているからこそ、ステレオ再生でも高い実力を発揮するAVアンプが実現できるのであろう。この点については、オーディオファンの方もぜひ先入観なく、いちど聴き比べてみてほしいところだ。

しかもNR1609なら、4chアンプで2chスピーカーを鳴らすバイアンプ駆動も利用できる。バイアンプ駆動でステレオ再生の音質をさらに強化することができるのだ。この点については後述したい。

リビングで使いやすいスピーカー配置を探る

次のテーマは、「必ずしも5.1chスピーカーを用意しなくても、サラウンドは楽しめるのか」について実験を行った。

2chのフロントスピーカーは最低限必要としても、サブウーファーやセンタースピーカーなどを加えて、5.1chであれば合計6個のスピーカーをリビングに設置するのは、多くの人にとって少々ハードルが高いと思う。しかし、5.1ch分のスピーカーを用意するのにはちゃんと理由がある。

映像コンテンツに収録されているサラウンド音声はほとんどがITU-R勧告(国連機関の国際電気通信連盟が決めた、サラウンド再生におけるスピーカーの基本配置)を準拠した規格に沿って作られているので、その規格通り複数のスピーカーを配置すると、クリエーターが意図した音により近い形でサラウンドが楽しめる。また、話題のアトモスやDTS-Xなどオブジェクトオーディオ方式のサラウンド音声はスピーカー配置に合わせてレンダリングされるが、当然スピーカー数は多いほうが良い。

今回の使用機材。スピーカーはDALIで統一した

サラウンドスピーカーにはDALI「RUBICON 5」を使用

ただ、現実問題として理想のスピーカー本数や設置は難しい。ホームシアターマニアが目指す理想は揺るがないとして、リビングでカジュアルに良い音で映像コンテンツを楽しむための簡略化された楽しみ方があってもいいのではないかと筆者は考えている。

そこで今回、5.1.2chというNR1609で構築できる最大のサラウンドシステムと、センターレスやサブウーファーレスのシステムをあえて比較して、どれくらい実用的なのかを試してみた。こうした実験を行うのは、NR1609レベルの高音質AVアンプだからこそ可能なことも付け加えておきたい。

……ということで、今回はOPPOのBDプレーヤー「UDP-203」をソース機器として、いくつかのスピーカー配置を試してみることにした。

サブウーファーは必須アイテム?

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