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先進技術を積極的に取り入れた準旗艦モデル

デノン「AVC-X6500H」レビュー。フラグシップに肉薄するスケール感豊かなAVアンプ

公開日 2018/10/12 06:00 大橋 伸太郎
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本機搭載のDACは8ch仕様のAKM「AK4458VN」2基。フラグシップのX8500Hは2ch仕様のAKM「AK4490EQ」8基なので、ここはやや差がつく部分かもしれない。一方で、DAC周辺回路の設計を最適化することで上位機並にDACの性能を引き出すことを狙っている。

X6500HのDAC基板。デジタル系基板からも独立したDAC専用基板として音質を追求している

X6500HのEIトランス。11chアンプ駆動を担うことのできる大容量と低ノイズを両立させている

ポストフィルターのオペアンプに定電流負荷を附加し、動作点をA級動作に改善。薄膜抵抗の採用で抵抗成分を低減(100Ωから47Ω)、電源および基準コンデンサの容量アップ(220uFから470uF)も図っている。すべては、X8500H並みの音質へ接近を狙った改良だ。

細かい点では、新エコモードを搭載。従来のボリューム設定値のみの制御に加え、入力信号のレベル検出のロジックを追加し、より使えるエコモードとしてインテリジェント化した。また、従来は欧米ベースのボリューム値50くらいで作動していたが、日本の使用環境は10デシベルくらい低い。そのため日本独自仕様として、ボリューム値を40前後へ変更している。

帯域はよく伸び、生々しい質感がくっきりと表れる

筆者は日常のリスニングに「AVC-X6300H」(関連ニュース)を使用。その後継機種のX6400H、フラグシップX8500Hも確認してきた。その経験を携えてデノン視聴室でのリスニングに臨んだ。

デノン視聴室に用意されたX6500H

まずオーディオアンプとしてステレオソース再生の実力を聴こう。情家みえのCD『エトレーヌ』から「チーク・トゥ・チーク」。ベースラインは克明だが量感と迫力に富む。弾力感もある。ピアノの鮮鋭なアタックは生気に富む。肝心のヴォーカルはハスキーで押出し豊かな声質がしかと伝わる。

情家みえの本領、スローバラードの「ユー・ドント・ノウ・ミー」は声の抑揚、強弱変化を活き活きと伝え、声の伸びに力強い芯と音圧を感じさせ、ライブステージを前にしたがごとき生々しい表現だ。音色が曇らず生々しく明るいがしっとりした肉声の温度感がある。

ファルセットにヴォイスチェンジした時の生々しい変化、息づかいも素敵だ。ピアノの倍音の豊かさ、鮮鋭感、シンバルのブラシワークの銀波の寄せるような実在感も、同社ハイファイアンプ・グレードといえる。

試聴に臨む大橋氏

ハイレゾを聴いてみよう。アンナ・ネトレプコの「ヴェルディ・ヒロイン」(96kHz/24bit)は、コーラス(男声/女声)の分離、定位のよさに感心。ソリストのソプラノは明るく芯の強い鮮鋭感豊かに歌う。ソプラノ・リリコスピントらしい強靭な声が音場にすっくと立ち、ヴェルディの雄渾な旋律がくっきりと現れて小気味よい。

続いてビル・エヴァンス・トリオ「ワルツ・フォー・デビー」(192k/24bit)。スコット・ラファロのベースの解像感、量感は豊かで質感も生々しく、響きが過剰にならない。帯域も十分ローエンドへ伸びている。音程変化による音量の凹凸も少なく、通して聴いていてバランス、音楽のまとまりがいい。

それではサラウンドソースを再生しよう。X6500Hの大きな魅力、Auro3D再生から聴く。グスターボ・ドゥダメル指揮の『ウィーンフィルハーモニー・ニューイヤーコンサート2017』から「美しき青きドナウ」。Auro3Dはチャンネルベースだが、分離のよさが秀逸で空間の澄み渡って爽やかでクール。その中に弦の柔らかい質感が確かにある。

デノンの視聴室。スピーカーシステムはB&W 800 D3シリーズを中心に構成

たゆたうようでいて、オケがしっかり定位し、解像感も高い。玲瓏としているが確かな音の芯が具わっている。ムジークフェラインザールらしい、高さ方向に澄み渡った音が立ち上って行く響きの生動感がここにある。

前方スピーカーやや高めにオケが展開するので、ウィーンの晴れやかな新年1月1日に会場の平土間(桟敷)の聴衆の一人となって演奏を聴いているように錯覚する。水平方向への広がりも十分で視聴室の限界を感じさせない。

アンコールの「ラデツキー行進曲」は、お約束の聴衆の手拍子が平土間からバルコン席、2階へと音量が高まっていく全方位サラウンド描写が楽しい。パルシブな拍手は再現が難しいがX6500Hでは歪まず濁らず、硬い響きにならない。

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