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[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域

【第211回】現代版iPod nano? めちゃくちゃ小さいハイレゾDAP、SHANLING「M0」が多芸すぎる

公開日 2018/07/02 08:04 高橋敦
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超小型&エントリーとして納得の音作り

音質面は、Shureの「SE846」と「SE215」、finalの「E3000」と「E2000」などを使ってチェックした。

ハイエンドクラスのイヤホンで聴き比べると、上の価格帯かつ普通のサイズのDAPとの間には、さすがに差を感じられることは否めない。それはもう「物量(コストとスペース)の差」という、如何ともしがたいのものがあるので仕方ない。

しかし、組み合わせるイヤホンのクラスを少し下げるとその差は縮まって、クオリティの差ではなく、DAPごとの個性の違いと感じられる範疇に入ってくる。

ではその「個性」はというと、まず高域は明快。例えばシンバルは、音の粒子がふわっと広がるしなやか系ではなく、硬めのかっちり系。細かなリズムワークも埋もれさせず強めに届けてくれる。

そして低域も明快。ベースをドンと深く沈める系ではなく、音色の重心を少し上げることでベースラインを聴き取りやすくし、太さや弾みもプッシュしている。

総じて高域側も低域側もワイドレンジにしすぎず、高域と低域それぞれのポイントをプッシュすることで、メリハリ重視にまとめられた印象。少し騒がしい屋外でも高価ではないイヤホンとの組み合わせでも、わかりやすく届きやすい音にしてくれる。超小型でエントリークラスのプレイヤーの音作りとして納得だ。

Bluetooth機能は超充実!

普通のDAPとして使っても、「普通に使える上に小さい!」と十分に魅力的なこのモデルだが、加えての魅力はBluetooth機能の充実だ。

まず「ワイヤレスの身軽さは欲しい!でも、できるだけ高音質で!」という方に向けてのアピールポイントはLDAC対応。組み合わせるイヤホンやヘッドホンの側もLDAC対応で揃えることが条件になるが、Bluetooth伝送での音質ロスを最低限に抑えられる。

また実はこのモデル、送信コーデックを任意に選択できる。組み合わせるイヤホンやヘッドホン側の特性と合わせて、「外出先で接続が途切れがちな場面ではコーデックを切り替え」みたいな活用もできるかもしれない。

ペアリング等の手順も「いつもの」でOK

LDACの音質有線/標準/接続有線を含めて、aptX、AAC、SBCを任意に切り替え可能

そして、さらに加えて便利なのがBluetoothレシーバー機能。つまりスマホの再生音声をBluetoothでM0に飛ばし、M0に接続してあるイヤホンで聴くことができる。

スマホ側から普通のBluetoothイヤホンでするのと同じようにペアリングして接続

M0側はこの画面に。この画面を右にスワイプするだけでさっと接続解除し、DAPモードに戻れるのもポイント

ローカル音楽ライブラリの再生はDAPに丸投げするとしても、通信環境やアプリが必要なネットラジオやストリーミング配信の受信はスマホ頼りにならざるを得ない。しかし、DAPからスマホにイヤホンを差し替えて、スマホからケーブルを伸ばして聴くのは面倒…。

そんな場合、M0をBluetoothレシーバーとして使えば、スマホで受信した音声をM0に繋いであるイヤホンで聴ける。スマホは身軽なままなので、ながら作業もしやすい。なんて快適!だってM0はBluetoothレシーバー専用機と比べても見劣りしないコンパクトさだし!



ということで、SHANLING「M0」の印象は、安い!小さい!多芸!である。

普通にDAPとしてだけ使ったとしても、逆にあえてBluetoothレシーバーとしてだけ使ったとしても、十分すぎるコストパフォーマンスを発揮するアイテムだ。そしてその多芸を生かして使い倒せばさらにお得!それぞれご自身の環境での活用方法をぜひ考えてみてほしい。

高橋敦 TAKAHASHI,Atsushi
趣味も仕事も文章作成。仕事としての文章作成はオーディオ関連が主。他の趣味は読書、音楽鑑賞、アニメ鑑賞、映画鑑賞、エレクトリック・ギターの演奏と整備、猫の溺愛など。趣味を仕事に生かし仕事を趣味に生かして日々活動中。


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