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装着性も音質も高い完成度

AKG初のBTイヤホン「N200 WIRELESS」レビュー。N20シリーズ “らしさ”を継承した優秀機

公開日 2018/05/25 10:00 高橋 敦
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リモコンやバッテリーといった話題も出たので、そこもチェックする。まず、リモコンはかなり使いやすい。中央のマルチファンクションボタンは押しやすい形で独立している。その上下のボタンはリモコンの前側全面がボタンになっているシーソー式ボタンだ。コンパクトではあるが、例えばiPhone付属イヤホンのリモコンよりは大きいし、シーソー式でボタンの面積も広く確保されており、手探りでボタンを探さなくてもさっと操作できる。

リモコンは操作しやすく、ケーブルも柔らかで取り回ししやすい

操作体系としては近年主流の、「上下は一回押しで音量調整、二回押しで曲スキップ」「マルチファンクションの二度押しで音声アシスタント起動」となっている。

バッテリー周りでは、まず音楽再生連続は8時間。加えて急速充電対応により、10分の充電で1時間の再生が可能となっている。急速充電出力対応モバイルバッテリーを持ち歩いているユーザーなら、バッテリー切れの心配はほとんど要らないかもしれない。

そのほか、ケーブル被覆はファブリック素材で、首の後ろなどに当たった際の不快感を軽減し、絡みにくさも確保。Bluetooth伝送コーデックはSBC、AAC、aptXの3つをしっかり押さえてある。

現代のサウンドの美味しいところを必要十分に引き出す

そしてもちろん「現代の音楽を意識したチューニング」も健在だ。こちらも「N20と同じ音」という意味ではなく、Bluetoothワイヤレスという条件下での、N20と同じく現代の音楽を意識したチューニングということになる。

具体的には「中高域はスカッと爽快に抜け、空間的な広がりや余白も十分。低域はボリューミーだがダブつきはしない」というのが、このモデルのサウンド。

ワイドレンジで音数が多い曲でも、音をうまく抜けて広げることで、それぞれの音も中央のボーカルも埋もれさせない。ベースがドカンと来る曲でも、存分にドカンとさせつつ、そこから必要を超えて緩く広がりすぎさせたりはしない。いまどきのサウンドの美味しいところを引き出すが、引き出しすぎにはしないというわけだ。

例えばRobert Glasper Experiment「Human」は、エレクトロサウンドの空間配置に深く沈み込むベースと、このイヤホンが想定しているであろう現代的、コンテンポラリーなエレクトリックサウンドの典型的なもの。もちろん相性は抜群だ。

ベースの表現は特に秀逸。深い低音域への沈み込みと横に広がるボリューム感のバランスがよく、単に良質な低域再生というだけではない楽しさがある。またエレクトリックサウンドだけではなくアコースティックでのウッドベースも好感触だった。

ボーカルやシンバル、ギターなど中高域の音色は、しっとりとした情感よりもさっぱりとした快活な明るさを感じさせる表現。豊かな粒子感が云々というところに無理に踏み込まず、音色や響きを適度に整理し、明快にしてある。ここの整理はBluetooth伝送での音の変化も踏まえた上でのものと考えると、さらに納得がいく。

N20というベーシックフォーマットの完成度の高さを背景に、ワイヤレスイヤホンとしての高い完成度を実現したモデル。それがこのN200 WIRELESSだ。完全ワイヤレスはまだ発展途上である現在、完成度重視でこちらを選ぶという選択も魅力的だと思う。

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