海上忍のラズパイ・オーディオ通信(44)

ラックスマンのラズパイオーディオ「AUDIO OSECHI BOX」“次の重箱” はコレ!『CDトランスポート』を開発中

海上 忍

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2018年04月25日

「AUDIO OSECHI BOX」もその方式で開発されており、システムの整備/開発はワンボードオーディオコンソーシアムのソフトウェアグループが進めている。独自ディストリビューション「1bc」はその成果物で、ここに必要なソフトウェアを追加していくというわけだ。

そのような経緯から、CDトランスポートの動作に必要なソフトウェアは筆者がコーディングを担当した。従来どおりMPDをコアとする再生系を利用しているが、開発の参考にできるようなCD再生をサポートしたRaspberry Pi用ディストリビューションは存在しない(少なくとも筆者は知らない)ため、完全に手探りの状態からスタートしている。

着々と開発が進む独自ディストリビューション「1bc」。CDトランスポート対応を果たしたことから、バージョンを0.2に上げてみた

「CASE 01+DAC 01」にUSB CDドライブを接続したシステムを開発環境として利用した

幸い、MPDがオーディオCDを直接読み取ることができるため、CD上の全トラックをMPDのプレイリストに追加する部分と、CDのディスクIDを頼りにオンラインのCDデータベースに問い合わせる部分、そして入手した曲情報をMPDのデータベースに書き込む部分を実装する程度で済んだ。開発環境としては、本連載ではお馴染みの「CASE 01+DAC 01」にUSB CDドライブを接続したシステムを利用できたので、至ってスムーズに作業を進めることができた。

なぜCDトランスポートなのか

なぜ「CDプレイヤー」ではなく「CDトランスポート」か、という点についても、コンソーシアムのソフトウェアグループからの目線で説明しておこう。

一般的に「CDトランスポート」という場合、CD再生における駆動部/送り出しに特化した機器を指す。ディスクを回転させてピックアップによりデジタル信号を読み取り、外部のDACに送信するまでがその役割だ。デジタル信号をアナログ信号に変換する処理は、DACチップを搭載した外部機器の役割であり、AUDIO OSECHI BOXの場合はRaspberry Piを内蔵したJU-001がその任にあたることになる。

JU-001にはPCM5122という定評あるDACチップが搭載されているのだから、それを利用しない手はない。当然、搭載されるDACチップによって音質は変わるため、JU-001(または相当するデバイス)のグレードアップによって音質向上を図ることができる。JU-002は、DACチップを内蔵しアナログ出力するCDプレイヤーではなく、信号の読み取り/送り出しに特化するCDトランスポートという形態を選択することが合理的なのだ。

それに、デジタル信号のままであればMPDで再生をコントロールできる。MPDは「libcdio」というライブラリ - いわゆる「Red Book」の仕様を忠実に再現でき、多くのLinuxベースのオーディオ機器で採用実績がある - の機能により、直接CD-DAを読み取ることができる。アナログ信号を出力するCDプレイヤーでは、こうはいかない。

MPDで再生管理できるのであれば、アーティスト名やアルバム名などの曲情報を付加することも容易だ。実際、ヘッドホン祭で展示するシステムには、CDを挿入するとインターネット上のCDデータベースにアクセスし、曲情報を自動的に取得する機能を実装している。スマートフォン/タブレットでの選曲を前提としたシステムである以上、曲情報が“ある”のと“ない”のとでは選曲の楽しさも違ってくる。

MPDクライアントアプリ「Soundirok」でプレイリストを表示したところ

ヘッドホン祭に間に合わせることを最優先に短期間で開発したため、ソフトウェアイジェクトに対応しないなど、気になる点はいくつもあるが、この先UI(WEBインターフェイス)を刷新するタイミングで機能を追加するつもりだ。リッピング機能をどう見せるか(実装そのものはほぼ完了している)、アップサンプリング機能をハードウェアとソフトウェアのどちらに持たせるか、という議論も進めなければならないだろう。本連載での報告をお待ちいただきたい。

曲情報の詳細に表示された「CDDAA:///1」が、オーディオCDを再生していることの証拠だ

日本語の曲情報も支障なく表示できるが、曲情報があるかどうかはCDデータベース次第だ

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