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【特別企画】スピーカーで培った技術を最適化して投入

FOCALから待望のワイヤレスヘッドホン/イヤホン登場。「LISTEN/SPARK WIRELESS」を聴く

公開日 2017/12/27 08:30 山本 敦
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土岐麻子のベストアルバム『HIGHLIGHT』から「乱反射ガール」を聴くと、ファルセットの淡いゆらぎや息づかいなど、ボーカルの細やかなニュアンスを自然に伝えてくるヘッドホンであることがわかる。

低域のリズム音は立ち上がりのインパクトが鋭く、余韻がスムーズに伸びる。特定の帯域が強調されることのない、絶妙にバランスの取れたチューニングに仕上げられているところはさすが高名なオーディオブランドのヘッドホンである。空間再現もスピーカーによるリスニングをイメージしたかのように、鮮明な音の定位と輪郭の鮮やかさ、ナチュラルな立体感を備えている。ボーカリストの生々しい存在感があふれ出してくる。

オンキヨー「DP-CMX1」とaptXで接続して音質をチェックした

マーカス・ミラーのアルバム『Afrodeezia』から「Hylife」では、活き活きとしたエレキベースの躍動感に引き込まれる。低音は量感を前面に打ち出してくるタイプではなく、音像の彫りが深く、瞬発力の強さを特徴としている。抜け味の清涼感が同等クラスのBluetoothヘッドホンに比べると際立っていると思う。安定感たっぷりのリズムセクションの上にピアノや管楽器の奏でるメロディがくっきりと浮かび上がる。空間は奥行きが深くクリアに見通せる。エレキギターもカッティングの粒立ちがよく、きれいに解れて広々とした空間を浮かび上がらせる。微小な音の再現力も高いヘッドホンだ。

東京スカパラダイスオーケストラのアルバム『Paradise Has No Border』から「Believer」では、ダイナミックでスケールの大きなバンドの演奏を見事に鳴らし切った。管楽器の音によけいな色づけがないぶん、サキソフォンやトロンボーンのふくよかさ、トランペットの煌びやさなどそれぞれの楽器が持つ本来のうまみを自然と引き立たせてくれる。爽やかな余韻の切れ味もこのヘッドホンならではの持ち味と考えて良さそうだ。

コンパクトに折りたたむことも可能。折りたたんで収納できるソフトケースも付属する

LISTEN WIRELESSはスタイリッシュなルックスと裏腹に、落ち着いたニュートラルバランスを特徴としているヘッドホンだ。フォーカルが長年に渡って築き上げてきた理想的なスピーカーシステムの音づくりの理論を、外耳や耳介の影響を多分に受けるヘッドホンのチューニングにそのまま当てはめるのではなく、応用をきかせながら実践することで、自然なリスニング感と豊かな音楽性を引き出せているのだろう。フォーカルがヨーロッパの音楽ファンを虜にするヘッドホンブランドであることもうなずける。

約1万円でaptXにも対応したBluetoothイヤホン「SPARK WIRELESS」

続いてBluetoothイヤホン「SPARK WIRELESS」を紹介しよう。1万円を切る価格で手軽に買える海外ブランドのBluetoothイヤホンとしても要注目の製品だ。コンパクトで取りまわしが効くうえに、高音質コーデックのaptXにも対応している。ちなみに有線モデルの「SPARK」もラインナップされている。

「SPARK WIRELESS」

ちなみにフォーカルはSPARKシリーズに先駆けて、ブランド初となるイヤホン「Sphear S」を発売している。こちらはカナル型とインナーイヤー型の長所を掛け合わせて、音質と装着性能の両方に“フォーカルらしさ”を追求している。今回は本機の詳細に踏み込むことがテーマではないので、興味のある方はPHILE WEBのニュースでチェックしてもらいたい。

次ページ情報量が豊富で余韻がきめ細かい。屋外でも映える音調

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