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Auro-3Dをはじめ各イマーシブオーディオも聴き比べ

デノン「AVR-X4400H」レビュー。上位機譲りの音質を備えた、イマーシブオーディオに最適なAVアンプ

公開日 2017/12/21 11:18 岩井 喬
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ネットワーク環境及びPC、USBメモリーからの音楽ファイル再生は192kHz/24bit PCM、5.6MHz DSDに対応。独自のHEOSテクノロジーによって、AWA、Spotifyなどの音楽ストリーミングサービスやインターネットラジオTuneIn、Bluetooth、AirPlay、FM補完放送であるワイドFMなど、ネットワーク上のNAS、USBメモリーからの音楽再生とともにシームレスに楽しむことができる。

■伸びやかかつ締まりのあるリアルなサウンドのUSBメモリー再生

サウンドチェックはデノン視聴室で行ったが、スピーカーはB&Wの「700シリーズ」を使用。フロントハイト/リアハイトを天井に埋め込んだ[5.1.4]環境によるAuro 9.1システムにて確認した。ステレオ再生のチェックはフロントUSB端子に差し込んだUSBメモリー内のハイレゾ音源ファイルを聴いてみたが、余裕のある伸びやかなサウンドで、音像の密度も持たせつつ、輪郭も適度に引き締め明瞭に描き出している。質感はスムーズで、リアリティの高い音場再現性も見事だ。

デノンの試聴室に設置されたAVR-X4400H

クラシックの飛騨高山ヴィルトーゾオーケストラ コンサート2013『プロコフィエフ:古典交響曲』第一楽章(96kHz/24bit)は、管弦楽器の分解能が高く躍動感も見事に再現。低域は弾力良く引き締めるが、ハーモニーそのものの潤いや、階調細やかな余韻の粒立ち感は丁寧かつ生々しく引き出してくれる。

ジャズの『Pure2-Ultimate Cool Japan Jazz-』から「届かない恋」(2.8MHz DSD)では、ホーンセクションのエッジが効いた鮮やかさ、ハリの滑らかさが印象的。クリアでS/Nもよく、スムーズなアタック感が中心の傾向で、ウッドベースも締まり良い。ピアノも朗らかにまとめ、シンバルは清々しく響く。ドラムの密度感、太さも自然で、アンビエントの響きも浮き立ちよく爽やかだ。

ポップスのシカゴ『17』から「ワンス・イン・ア・ライフタイム」(192kHz/24bit)では、ベースラインをゆったりと表現し、ハネ良くリズムを刻む。ボーカルはハキハキとしてスムーズなタッチで描かれ、口元の潤い感も丁寧に引き出す。リヴァーブの響きは爽やかで、ホーンもハリ良くゴージャスに煌く。厚みとキレのバランスが取れた耳あたり良い音色である。

そしてSuara「キミガタメ」(11.2MHzレコーディング音源を5.6MHzに変換)は、ボーカルがボディの厚みを持たせつつもスッとヌケ良く浮き上がり、口元の動きを艶良くウェットに描き出す。ピアノのアタックは澄んでおり、アコギの爪弾きは粒が細かく生々しい。余韻の爽やかさ、アタックの鮮やかさも誇張なく素直な表現だ。ハイレートな音源の持つ付帯感のないナチュラルかつ潤い豊かなサウンドである。

■Auro-3Dアップミックスで音場表現がさらに豊かに

続いてマルチチャンネル環境での確認を行った。まずは『スカイ・クロラ』のチャプター15・空戦シーンであるが、密度ある戦闘機の動きを丁寧かつスムーズに描き、エンジン音は軽やかに表現。BGMのほぐれ良さ、質感の滑らかさも良好だが、低域に関しては力強く押し出してくる。

ここでDTS-HD Master Audio(6.1ch)からDTS Neural:Xのアップミックスへ切り替えてみると音像の密度が向上。戦闘機のエンジン音も骨太で、BGMの低域もリッチさが増している。音像の移動に関してはよりシームレスで自然な定位感となり、センターchのセリフも存在感豊かで落ち着いたタッチだ。

本機のスピーカーセッティング画面。単体で最大9.1chのスピーカーレイアウトに対応する

さらにAuro MaticアルゴリズムによるAuro-3Dアップミックスでは一気に傾向が変わる。ここまで密度感に対しての音質変化が大きかったが、Auro-3Dアップミックスでは音離れの良い高分解能な音場形成に重点を置いたサウンドとなった。

SEの一つ一つの細やかな音も鮮明に引き出され、BGMのコーラスワークも上方向から降り注いでくるようだ。音像の太さも維持しつつ、質感の鮮度が増した印象で、戦闘機も音離れよく空間を動き回る。ベースもどっしりと響くが切れ味もよく、収束も早い。音場はクリアに保たれ、付帯感のない爽やかな傾向だ。

次ページ各イマーシブオーディオを描き分けるアンプ性能の高さにも注目

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