ロックスターの名を持つ最新世代機

M2TECH「YOUNG MKIII」を聴く − MQAにも対応、今後のオーディオを見据えた先駆者からの解答

岩井 喬

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2017年12月14日

■フォーマットの違いを描く緻密でスムーズな表現力

今回、このYOUNG MKVの音をいち早く聴くことができた。その音はM2TECHならではの流麗で艶やかな高域のハリ感と、中低域のほのかな弾力感による締まりの良さが生み出す華やかでリッチなサウンドとなっている。

クラシックの管弦楽器は華やかな旋律と、伸び良く滑らかなローエンドをバランス良く爽やかにまとめ上げ、低域もダンピング良くウェットに表現。ハーモニーのリッチさが際立つ。ロック音源ではリズム隊がファットに押し出されるが、その引き締めも高く、リズミカルなキレ感が得られている。ホーンセクションやシンセ、ギターもカラッと艶良く浮き上がり、ヴォーカルもハリ良くスマートに描く。明瞭に音像を引き立てると共に、押し出し良く滑らかに全体をまとめたサウンドだ。

デジタルフィルターは、PCMではショートロールオフ/スローロールオフの2種類を用意

DSDはアナログFIRフィルターを全4種類から選択できる

そして今回の注目ポイントのひとつ、MQAの音源での再生である。FLAC音源では輪郭をくっきりと締め良くシャープに描きつつ、パワフルに押し出す傾向にあるのに対し、MQA音源ではほぐれ良く、ていねいに音を重ねて、DSDのような自然な浮き上がり感、空間性を持たせたようなサウンドとなる。ホーンセクションの立ち上がりもしなやかで、各音像の分離も良くナチュラルな音質傾向だ。ヴォーカルの浮き立ちも強調感が少なく、耳あたり良く描く。

MQA音源は、TIDAL Mastersが採用するほか、e-onkyo musicなどでも音源が配信されている

そしてDSD音源。より音像の質感が流麗に描かれ、弦楽器の艶やかさや、低域のふくよかさがリッチに感じられるようになる。ウッドベースはむっちりとした艶が乗り、ヌケ良いヴォーカルの口元も滑らかに描き出す。煌びやかさと豊かな張り出しをシームレスに繋ぎ、余韻の響きも含めてゴージャスな空間を生み出している。

DSD5.6MHzなど、よりハイレートな音源になるとヴォーカルの肉づきはさらに増し、口元を滑らかかつウェットに描く傾向となる。ピアノは軽快かつブライトなタッチだが、低域方向への伸びも深く、ハーモニクスの厚い朗らかな響きは魅力的だ。アコースティックギターは粒立ち細かく、煌びやかなタッチ。華やかで明るい倍音に包まれたリヴァーブ感は実に爽やかで、清々しい。ドラムスのリッチさも際立ち、ホーンセクションの響きも鮮やかで華やか。どのパートに耳を傾けても、滑らかな質感で耳あたり良いサウンドを堪能できた。

総じての印象は、緻密でスムーズな表現力がこれまでの同社製品以上に磨き上げられているということだ。音場のシームレスな広がり感、音像の彫りの深い表情も一段と踏み込んだ描写となるなど、その表現はまさに最上位モデルというにふさわしいサウンドということができる。

試聴を通して分かったYOUNG MKVの価値

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