HOME > レビュー > アナログプレーヤー「DARK STAR」を山之内正が解説 − 技術的アプローチとこだわりを同時に実現

TRANSROTORのの新たなアプローチを満載

アナログプレーヤー「DARK STAR」を山之内正が解説 − 技術的アプローチとこだわりを同時に実現

公開日 2017/12/13 13:54 山之内 正
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

素材の重要性を熟知しているからこその設計

DARK STARはプラッターだけでなく台座、フットにもPOMを採用している。POMはポリアセタール樹脂の略で、「デルリン」とういデュポンの商標でも知られている。強度や内部損失の大きさだけでなく、熱や摩擦への耐性の高さなど、アクリルやアルミに劣らぬ優れた物性を有するエンジニアリング・プラスチックの代表格だ。

上級機同様の加工を施すプラッターだが、同社として初めてとなるPOM素材を採用

プラッターだけではなく、フット、台座にいたるいまでPOMを採用。これがDARK STARがトランスローターのなかでもユニークな存在である理由となっている

精度の高い加工が可能で、ターンテーブルとして不可欠の優れた制振性能を発揮することが、同社がPOMに注目した最大の理由と思われるが、ユニークなのは基幹パーツに全て同種の素材を採用したことである。固有周波数での共振を起こしにくい、つまり鳴きにくい素材であるという特徴を最大限活かすために、あえてシステム全体を同じ素材で作り上げる方法を選んだのだろう。素材の重要性を熟知しているメーカーならではの大胆な発想であり、その成果が注目される。

今回の試聴ではSMEのM2-9を組み合わせて行っている

モータ部は台座から完全に独立した構成を採用。コントロールユニットもコンパクトにまとめられている

本体は3点支持でアームベースとモーターユニットはどちらも台座の重量を支える役割は持たない。アームベースはSMEのショートアームに照準を合わせた仕様で、今回はSMEのM2-9を搭載した「DARK STAR M2」にて試聴を行った。カートリッジはマイソニックのSignature Goldを組み合わせている。

パーツひとつひとつの工作精度の高さもトランスローターの特徴のひとつだ

次ページ微細な音色の変化を忠実に引き出すS/N

前へ 1 2 3 次へ

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE