メディアごとに従来モデルと音質を比較

マランツ「ND8006」レビュー。CDからハイレゾまでを忠実再現する新世代Hi-Fiプレーヤー

山之内 正

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2017年12月01日

ミュージックサーバーを選択してNASに保存した音源を再生すると、深みのある低音と立体感に富む旋律楽器の動きを体感し、いきなり強いインパクトを受けた。ドムネラスの『ジャズ・アット・ザ・ポーンショップ』、スティーリー・ダンの『バビロン・シスターズ』どちらもハイレゾ音源でなければ体験できない鮮度の高さがあり、マスターと再生音の間に余分な要素が介在しないダイレクト感を実感。特に後者ではホーン・セクションが後方に下がりすぎず、アクティブに前に出てヴォーカルやギターと積極的にからむ。

続いて、「ND8006」(上)のネットワーク再生およびUSB-DAC再生の音質をチェック。それぞれ、従来モデル「NA8005」(下)との比較を軸に検証した

一方、ウェーバーのクラリネット協奏曲を再生すると、独奏クラリネットとオーケストラの間に自然な遠近感が生まれ、ステージの奥行きが立体的に蘇る。これは空間情報を豊富に含む音源から本来の遠近感を忠実に引き出すことの証明で、NA8005にもそなわっていた美点の一つだ。

■リアルな空間再現を実現するUSB-DAC再生

空間再現の精度の高さはDSD音源の再生からも確実に伝わってきた。ゲルギエフ指揮マリインスキー劇場管弦楽団が演奏したショスタコーヴィチの交響曲第15番を聴くと、木管や打楽器のステレオイメージがステージの上に精密に並び、DSDならではの3次元の表現力を思い知らされる。

USB-DAC再生は384kHz/32bitやDSD 11.2MHzの再生に対応する

DSD 5.6MHzのネイティブ再生は、USB入力に限られるのだが、そのUSB再生時のクオリティ感の高さは予想を大きく上回るものだった。児玉麻里&桃のデュオによるチャイコフスキー《くるみ割り人形》(DSD 2.8MHz)やE. オッテンザマーが演奏するブラームスのクラリネット・ソナタ(DSD 5.6MHz)を聴くと、前者では連弾の楽譜をあえて2台のピアノで演奏することによって獲得した澄んだ音色、後者では豊かな起伏と自然なフレージングが際立ち、演奏者たちと同じ空間を共有している錯覚に陥るほどだ。



デジタルプレーヤーには再生システム全体のクオリティや質感を支配する力がそなわる。それはもちろんアンプにも当てはまるのだが、情報量や空間描写などはソースコンポーネントが大きく左右すると言って良い。本機の再生音はまさにその部分に前作からの確実な進化を聴き取ることができ、ディスクからハイレゾ音源まで、多様なメディアの特徴を忠実に再現するポテンシャルが高い。ディスクプレーヤーとネットワークプレーヤーの2つの製品をたんに一つにまとめるのではなく、新たな価値を生み出すことを狙った成果を聴き取ることができた。

(山之内 正)

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