【特別企画】VGP審査員 大橋伸太郎氏が実力チェック

パナソニック 液晶ビエラ史上最高傑作! 音も映像も磨きをかけた4Kテレビ「EX850」実力検証

大橋伸太郎
2017年11月17日

液晶ビエラ史上最高傑作!
音も映像も磨きをかけたフラグシップ

いまもっとも完成度の高い液晶テレビとして、VGP2018総合金賞に輝いたパナソニック「EX850」シリーズ。明るさを大幅アップした「新開発高輝度パネル」、ベルリン・フィルとのコラボにより磨きをかけた総合出力100Wのスピーカーシステムなど充実の内容を誇る、このテレビの真価に大橋伸太郎氏が迫る。

■パネルの明るさをアップ。テクニクスの知見で音質向上

ハイエンドこそ有機ELに置き換わったが、全体の数パーセントに過ぎない。テレビの中心方式は今も液晶だ。液晶方式の画質・音質両面の進化を印象付ける新製品が現れた。パナソニック・ビエラ「EX850」シリーズだ。

今回視聴した55型のほか60型と49型もラインナップしている

液晶方式のフラグシップにいま、何が求められるのか。それは半暗室の静安の中で艶やかに咲き綻ぶのでなく、リビングの明るさと喧噪をものともせず絢爛と輝き、朗々と奏でるテレビだ。

そこで視野角の広いIPS方式のパネルが迷わず選択され、明るさも確保。EX850の最大画面輝度は従来モデルを凌駕し、1000nitsを軽くオーバーしているようだ。

家族で楽しむリビングのテレビとして最適な高画質を目指し、上下左右178度と視野角の広いIPS液晶パネルを搭載

ディスプレイ作りの知恵に「明るさは百難隠す」があるが、パナソニック設計陣はEX850の明るさに安住しなかった。

「新開発高輝度パネル」により、従来モデル「DX850」シリーズ比で約1.8倍となる高輝度を実現。さらに色の忠実性を高めた、パナソニック独自の「ヘキサクロマドライブ」との掛け合わせによって、HDR映像もコントラスト豊かに再現する

昼間、明るい日本のリビングも夜の映画鑑賞などのシーンでは、少し照明を落として100ルクス前後の環境での視聴も想定される。オールマイティーなコントラストのために採用したのがバックライトの「エリアコントラスト制御」だ。

暗い部分が多い映像エリアでバックライトの明るさを下げるのがローカルディミングだが、中間調の輝度も同時に下がり映像全体のコントラスト感も落ちてしまう。それを補うために映像信号をゲインアップするが、ピークが含まれていると、輝度の飽和、干渉(白あたり)が発生する。

EX850はエリアの分割数を上げつつ、エリア内でさらに細かく適正値を検出し、信号のゲインを再計算してかけ直し、黒レベルを下げながらピークや暗部階調を飽和させないことに成功した。

進化したバックライトエリア制御とエリアコントラスト制御により、高輝度領域から低輝度領域まで、ディテールを忠実に再現する

音質進化も目覚ましい。従来モデル(DX850)の課題を洗い出し、テクニクスのHi-Fi技術を注入。音声回路にテクニクス製品で採用実績のある高音質部品を採用、基板のグランドパターン変更でS/Nが大きく改善した。

テクニクスの開発チームの知見も活かしつつ、オーディオグレードの高品位パーツを厳選して搭載。とくに音響用電源回路の見直しや高周波特性を実現するフィルムコンデンサーなどを採用することで、大幅な音質向上につなげている

合計最大出力100Wの3WAYスピーカーシステムは、トゥイーター1基とミッドレンジスピーカー2基を仮想同軸配置とする正攻法。フルデジタルアンプ「JENO Engine」を搭載、放送ソースやパッケージのデジタル音声をビット拡張し高域信号を付加するなどハイレゾ・リマスター&アップコンバートし、中高域と低域それぞれに音量バランス調整、イコライズ、低音調整を行う。ミッドレンジはベゼル面積を無用に大きくしない楕円形状を採用、背面のウーファーは音導管が低音を前方に導く。

EX850シリーズは3WAY構成で総合出力100Wのスピーカーシステム「ダイナミックサウンドシステム・ハイレゾ」を搭載。画面中央に音像を定位させるべく、サイドスピーカーとして、ハイレゾ対応のトゥイーター2基とミッドレンジスピーカー4基を搭載。また、アンダースピーカーとしてウーファー2基とパッシブラジエーター4基を搭載。重低音を前方から響かせるように、独自の音導管構造を持つ。また、多彩な音声モードも特長。とくにベルリン・フィルとの協業の成果として生まれた「ミュージック」モードの完成度の高さは評論家諸氏に認められ、VGP2018企画賞にも輝いている


■作品に込められた真意に迫る。音と映像の圧倒的な完成度


ベルリン・フィルの本拠地、フィルハーモニーザール収録の「幻想交響曲」で視聴をスタート。まず気づくのがオーケストラ各セクションの定位のよさだ。

ハイレゾ・リマスターの恩恵は勿論だが、3WAYスピーカーの音の忠実性が高く、楽器の音色描写に優れているのに加え、水平方向の広がり感がある。何より音に明瞭さがある。

55Vの大画面を2H程度で近接試聴しているのに、画面中央部の音影が薄くならず、広がり感と密度感を両立している。テクニクスが磨きあげたJENO EngineのDSP機能が、音場表現に役立っているのだ。

ベルリン・フィルと協業し、クラシック音楽の知見を今後、パナソニックのAV機器に役立てていくそうだが、実際にEX850からフィルハーモニーザールの音の佇まいが感じられたことから期待大だ。

一方の映像はどうだろうか。エリアコントラスト制御の効果は『オブリビオン』(Ultra HD ブルーレイ)で如実に理解できた。暗闇の中の強烈な光が従来モデルでは潰れて白いカタマリになってしまうのに対し、EX850は解像感を保持し、発光体の顔つきが分かる。

それ以上に感銘を受けたのが『ラ・ラ・ランド』(Ultra HD ブルーレイ)。冒頭のフリーウェイ上のダンサーの群舞をカメラが追っていくシーン。逆光に入ったダンサーには普通、補助光源を当てて明るくしてやるが、このシーンではあえてそれをやらない。その結果、深い明暗対比が生まれ、しかもダンスの進行でその明暗が入れ替わっていく。

映画の舞台、南カリフォルニアの白々した光線を再現し風土感を体感させる狙いもあるが、これから開幕する映画の一貫したテーマ、ショービズの世界の明暗浮沈と人生のシーソーゲームをここで提示しているのだ。

凡百の従来モデルではエリア駆動型も含め、シャドウに入ったダンサーの表情をフラットに明るくしてしまう。一方のEX850はシャドウ部の明るさの表現が非常に適切で、一見華やかな本作にショービズ界の哀歓が裏打ちされていることが伝わってくる。

パナソニックには有機ELのフラグシップ「EZ1000」がある。いわば究極の直下型だ。EX850は液晶ビエラで頂点を極めた。薄型テレビの本義ミニマル&フラットを保持しつつ音質の躍進を果たしたことも特筆に値する。液晶方式の現在に止まらず全てのテレビの現在を表現した製品といえよう。

(提供:パナソニック株式会社)