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伝統を継承しながらさらに完成度を高めた

オーディオテクニカ“SOLID BASS” の新境地、ワイヤレス対応「ATH-WS990BT」。至高の低音を聴く

2017/11/11 折原一也
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重低音重視の“SOLID BASS”を継承、さらに対応度を増したサウンド

続いて「ATH-WS990BT」のサウンドもチェックしてみよう。ワイヤレスの検証は主にaptX接続で行った。

ATH-WS990BT BRD(ブラックレッド/左)、ATH-WS990BT BK(ブラック/右)

RADWIMPSの『前前前世 (movie ver.) 』を聴くと、ハイレゾらしいキレのある高域の音と共に、ベースの低音もゴリゴリとした質感も持たせたサウンドで、ヘッドホンの鳴りにグルーブを求めるなら相当気持ち良い音へと振り切っている。

中域は空間を広く展開し、エレキギターの音の解像感も一定以上確保しているが、ボーカルにも響きを付けて楽曲の中で鳴らすところは“SOLID BASS”シリーズらしいサウンドチューン。しかし、過去の“SOLID BASS”の重低音/高音を極めたサウンドと比較すると、本機はハイも耳につくレベルではないし、重低音も情報量志向を強めた事もあり、以前よりさらに守備範囲は広がったようだ。

映画『ラ・ラ・ランド』サントラのジャズ音源「アナザー・デイ・オブ・サン」でも、ウッドベースの音もどっしりと沈み込むサウンドで聴かせる。ボーカルのクリアネスは一定量確保しているし、音楽に包み込まれるサウンドといったところ。

とても相性良く聴けたのはSuchmosの『YMM』で、ゴリゴリとした質感を持たせた重低音と、音空間の広がりがマッチした。低音の張り出しについては、“強め”で“ボリューム感”重視ではあるが、楽曲全体としてのバランスを崩さない完成度はなかなかだ。

検証していて気づいたのが、ATH-WS990BTは付属ケーブルで有線接続もできるのだが、ケーブル接続で聴いた際の音質はワイヤレスより数段ハイレベル。中域の音の解像感が非常に向上し、空間に響くようだったサウンドが引き締まりさらなる音情報が現れた。また高域の伸びやかさもスムーズで聴き心地よく響くし、低音は音圧感を共によりソリッドなベースを鳴らす。これこそがATH-WS990BTの本当のサウンドクオリティであると考えると、自宅で使う際にはあえて有線接続という利用スタイルも推奨したい。

3.5mmプラグのケーブルでの有線接続にも対応。バッテリー切れの際にも通常のヘッドホンとして利用できる

オーディオテクニカの“SOLID BASS”最新モデルATH-WS990BTを使いこんでみた印象は、ユニークな立ち位置のヘッドホンというものだ。重低音ヘッドホンとしては“SOLID BASS”の伝統を継承しつつも、より守備範囲を広げたチューニング。ノイズキャンセリング/ヒアスルーについても、“SOLID BASS”との掛け合わせで選べるのは嬉しいポイント。日本メーカーらしい重低音ヘッドホンとして、ますます完成度を増した注目モデルと言えるだろう。

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