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銘機が進化

HDR対応+レーザー光源のフラグシップ画質を堪能。エプソン「EH-LS10500」レビュー

公開日 2017/06/23 10:00 大橋伸太郎
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HDRとカラーバランスのモードで好みの画質を追求

次に、逆にHDRの輝度の低い(暗い)『シン・ゴジラ』。CH13「ゴジラ復活す」はカラーモードは「シネマ」が好バランス。一方のダイナミックレンジはAUTO(HDR2)だとやや暗く湿っぽく、本作の実写(実景)合成シーンのドキュメンタルな現実感覚の表出にもう一歩。HDR1が好結果だった。

様々なコンテンツを視聴

次に他のカラーモードで見てみよう。「デジタルシネマ」はDCI的な発色に変わり、本作映像に関してはグリーン中心にクロマ濃度を増しやや記憶色ぽくなる。「ブライトシネマ」はカラーバランスはシネマとあまり変わらないが、ガンマ設定が明部重視で抜けがよくなる。このシーンはこの組み合わせHDR1+「ブライトシネマ」がベスト。

カラーモードだけでなく、「明るさ」「コントラスト」など様々な項目が調整できる

続くナイトシーン、CH18「悲劇」。カラーモード「デジタルシネマ」は映像のメリハリ感が減退しフラットになる印象があり、「シネマ」か「ブライト」の選択となる。ゴジラの核エネルギーの灼熱感を選ぶなら後者。ダイナミックレンジはHDR1かHDR2(AUTO)になるが、やはり熱核エネルギーの灼熱感と闇にうごめくゴジラのコントラストを考えるとHDR1で決着した。つまり本作を全編通じてゆるりと見たいなら、ブライトシネマ+HDR1の組み合わせを薦める。

三作目のHDRソフトが『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART.1』。HDR1、2の選択で一本の映像通しての平均的明るさが決まる。TR04の、ロンドンから魔法国への夜の飛行シーンはHDR1で暗部ディテールが見えてくるが、逆にマッドアイのバイクのヘッドライトの光が飽和して滲む。HDRらしいコントラスト感(明暗対比)はHDR2で十分なので、ここはHDR2で作品のダークネスに浸ったほうがいい。

本作で最も暗いシーンが続くCH21〜22。冒頭の雪原のシーンはHDR1で、HDR2では隠れていた細部の色彩が現れる。エマ・ワトソンのスキントーンも魅力的だ。グリフィンドールの剣の在処を教える鹿の幻想描写はHDR2が勝るが、背景はHDR2だとやや潰れがちでHDR1だと立体感と奥行きが出る。氷の張った沼の水底の剣もHDR2だとうっすらぼんやりとしか見えず、剣の神性が感じられない。

どちらを取るかは見る方次第だが、筆者はHDR1で見る。カラーモードは「デジタルシネマ」だと青ざめたバランスにシフトしそぐわず、「シネマ」か「ブライトシネマ」だが後者はこのシーンでは映像が全体に白っぽく明るく浮き気味で、幻想性が後退する。全編を一つの設定で通して見る場合「シネマ」+HDR1を薦める。

ガンマ値も設定が可能

最後に2K FHD BDのSDR映像。さすがに4K LCOS第二世代になり完成度が高い。明るく、クリーンで鮮鋭感のある映像だ。この日見たのが松竹の時代劇『駆込み女と駆け出し男』。デジタルシューティングで日本映画近作中でトップレベルの高画質。カラーモードは「シネマ」がウェルバランス。「デジタルシネマ」はカラーシフトが大きい(青、緑)が、料亭シーンの背景の女体の柔肌が燃え匂い立つ緋毛氈の退廃美、鮨が盛られた古伊万里の絵皿の滴る血のような赤の艶やかな描写に他で味わえぬ広色域の魅力がある。

デイライト野外撮影シーンでは「ブライトシネマ」の日照描写も捨てがたい。よく練られたエプソンのカラーモードは2K SDRで本領を発揮する。試みに完全暗室の状態から視聴室のダウンライトを上げても視聴に耐えるパワフルさはさすがエプソンのプロジェクターだ。

光源自体はEH-LS10000からキャリーオーバーであるため、ソフトによってはもう一息明るさのパンチが欲しい場合があるが、巧みなガンマの設定でHDRらしさを味わえる。4K解像度、HDR、レーザーダイオード光源がこれからの高画質ビデオプロジェクターの標準となる。サミットモデルではそれらを完備した製品が現れているが、常識的な価格レンジの高級機では本機だけだ。

ヘビーユーザーにとって放電灯の寿命は意外に早くやって来る。しかし、レーザー光源は基本的に交換不要だ。つまり長期的なコストパフォーマンスが高い。同価格帯ライバルでレーザー光源搭載は本機の他にまだ現れていない。販売店によっては実売70万円台に突入していることも心強い。4K UHD BDを期に、プロジェクターのグレードアップを狙うユーザーにとって有力な選択肢といえよう。

(大橋伸太郎)

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