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308パック/508パックをそれぞれ試聴

ECLIPSEが作ったオーディオシステム「CDR1パック」を聴く。シンプルに「正確な音」を楽しめる

公開日 2017/06/08 12:20 編集部:小澤貴信
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CDが備える音楽情報を余すことなく表現してくれる「CDR1 307」

まずはCDR1 307パックから試聴した。「TD307MK2A」はECLIPSEのラインナップ中でも最小・最軽量となるコンパクト・スピーカーだが、盛り込まれた技術内容は上位モデルと同様。エッグシェル形状のエンクロージャーによる共振・回折現象の排除、高性能なフルレンジユニットによる優れた過渡特性など、ECLIPSEのサウンドをコンパクトサイズで実現する。

「CDR1 307パック」の試聴風景

ノラ・ジョーンズ「Don't know why」を再生すると、各楽器が立体的に展開するステレオイメージが美しく広がり、ボーカルは口元の動きが見えるように細かなニュアンスまで描かれる。ピアノやギターなどのアコースティック楽器は生演奏を眼前で聴くようなリアルさを備えていて、付帯音のない自然な音色を聴かせてくれる。

やはりアコースティックなサウンドとの相性は抜群だ。ダイアナ・クラール「Superstar」を再生すると、バックのストリングスは左右のスピーカーの背後にまで広がる。両スピーカーの中央に座って目を閉じると、ボーカルがピンポイントで生々しく浮かび上がる。低域もスピーカーのサイズを考えればなかなかのもので、ベースの音階はしっかりと聴き取れる。

CDドライブをオープンしたところ

本機のリモコン

一方で、ECLIPSEのスピーカーは立ち上がり/立ち下がりが俊敏なので、打ち込み主体のポップスやテクノ系の音楽も心地良く楽しめる。CDR1 307パックでメトロノミー「HEARTBREAKER」を再生すると、打ち込みのドラムからシンセ、ドアの開閉の音のサンプリングまで、音のレイヤーが描き分けられる。リズムの同期が心地いい。もともと大音量は想定していないスピーカーと言えるが、音量を絞っても音楽のバランスが崩れないのも魅力と感じた。

いわゆるミニコンポというと、レシーバーのすぐ隣にスピーカーを並べるような使い方が思い浮かぶかもしれないが(実際店頭でも売り場の都合でそのように設置してある)、CDR1 307パックを使うなら、ぜひスピーカーの間の距離はしっかり確保してほしい。優れた位相特性を持つECLIPSEのスピーカーを正しくセッティングすると、ステレオ再生の醍醐味である音楽の立体的な広がりを味わうことができるからだ。

本格的なHi-Fi再生が楽しめる「CDR1 508パック」

続いてCDR1 508パックを聴いた。80mmユニットを搭載したTD508MK3は、ペア10万円〜15万円という価格帯を代表するHi-Fiスピーカーのひとつであり、弊社主催のVGPをはじめオーディオアワードの常連モデルである。筆者もこれまで何度も試聴して、その実力は知っている。試聴時の関心事はむしろ、果たしてこのサイズのレシーバーでTD508MK3を鳴らし切れるのかということだった。

「CDR1 508パック」の試聴風景

しかし実際にその音を聴くと、上記の懸念は杞憂であることがすぐにわかった。CDR1はTD508MK3を余裕を持って駆動していて、積極的にその長所を引き出してくれている。

ノラ・ジョーンズ「Don't know why」では、持ち味の「正確な音」が、峻厳なモニターライク・サウンドというより、録音が持つオーガニックな魅力を積極的に引き出す方向に作用している。アンプの駆動力に余裕があるからこそだろう。楽器の響きは美しく、ボーカルは湿度感まで表現されている。サウンドステージはさらに音の厚みも増して、実在感が倍加している。ベースラインは音階表現や楽器の質感だけでなく、量感にも不足を感じない。

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