[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域

【第191回】高級ダイナミック型イヤホンに良作多数! ベイヤー/DITA/Campfireの3機種で実力を測る

高橋 敦

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2017年06月02日

VEGAはRobert Glasper Experiment「Human」との相性が特に良かった。エレクトロなサウンド独特の現代的なエッジ感、そしてディープなローエンドをがっつりと出してくれたことがポイントだ。

Robert Glasper Experiment「Human」の独特の現代的なエッジ感とVEGAがマッチ

現代的なエッジ感というのは、高域に少しのピーク、癖を感じるということである。しかし別にモニター機でもないので、それは一概に悪いことではない。聴く曲の音作りやユーザーの好みとの相性次第だ。こちらの曲のようにエフェクティブな空間表現、エレクトロな響きを効果的に用いているサウンドとの組み合わせでは、このイヤホンのエッジの出し方がその音楽表現をより明瞭にしてくれているという印象を受けた。

そのエッジ感については、例えば元々サ行が強めに入っている女性ボーカルの音源などだと、刺さりが少し気になる場面もあった。だがイヤーピースをソフトフォームに変えるなど調整は可能。そこはユーザー側の使いこなしで「引き算」すれば良いと思う。もっともこちらの曲のような男性ボーカルであれば、そもそも刺さりが気になることもない。

ベースは太さや厚みの帯域を抑えすぎずしっかり出しつつ、さらに低い帯域への沈み込みもしっかりとしている。遠慮なくドンと叩き出してくれる、それでいて良質な低音が好みの方におすすめしたいタイプだ。



ということで、全モデルのサウンドチェックも完了。それでは最初の話、「エントリーからミドルクラスの追い上げが激しい中でその存在意義は維持されているのか?」に立ち戻ってみよう。

正直なところ、差が縮まっていることは事実と思う。しかしチューニングを引き算で行えるような、「高域も低域も出そうと思えばもっと出せますけど何か?」的な余裕に裏打ちされた表現力は、このクラスならではのものだ。そこの別格さはやはり未だに感じる。

そこに魅力を感じるか否か、何倍もの価格差ほどの価値を認めるか否かは、ユーザーの考え方、聴く音楽や好む音、再生環境全体の違いによっても変わってくるだろう。だがそこを判断するためにもまずは、機会があれば一度はこの音を体感しておいて損はない。そこは確かに断言できる。

高橋敦 TAKAHASHI,Atsushi
趣味も仕事も文章作成。仕事としての文章作成はオーディオ関連が主。他の趣味は読書、音楽鑑賞、アニメ鑑賞、映画鑑賞、エレクトリック・ギターの演奏と整備、猫の溺愛など。趣味を仕事に生かし仕事を趣味に生かして日々活動中。


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