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[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域

【第188回】今回もやります!高橋敦の「ヘッドホン祭2017春」超個人的ランキング

公開日 2017/05/02 12:56 高橋敦
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▼【第3位】ラズパイオーディオ最大の課題、ケースに挑む!

本サイト執筆陣の一人でもあり「ワンボードオーディオ・コンソーシアム」の提案者でもある海上忍氏がプロデュースするRaspberry Pi用オリジナルケース、そしてそれに合わせたDACボードも展示されていた。

【ニュース】【ラズパイオーディオ】ついに完成!ヘッドフォン祭でアルミ削り出しケースとDACボード試作品を公開

オーディオグレードのぶっといUSBケーブルを挿してもケーブルに負けない、安定の重量感も注目ポイント!

現行試作では白いこのパーツはラズパイとDACの基板の電波干渉を低減するためのシールド板

主な特徴は上記の記事に詳しいのでそちらを参照していただくとしてそちらではあえて触れていない点を紹介すると、DAC基板の2.5mm端子周辺にはちょうど二回り大きな規格の端子を取り付けるのによさそうなサイズのホールも用意されており、基板の配線はそちらにもつながっていた。はていったい何のために?

さて自作PC用ケースもそうだが、ケースというパーツは単純なようでいて実は奥深い。互換性を保つための規格に沿った上で組み安さや使い勝手やかっこよさを高めなくてはならないその設計は、今回のこのケースのようにぱっと見はシンプルなものでも実際には容易ではない。

またラズパイの基板はPCのそれよりぐっと小さい。すると端子配置の僅かな製造誤差も全体のスケールとの対比で見ればより大きなズレとなる。では誤差を見越して遊びを大きく取っておけばよいかというと、これまた全体のスケールとの対比で遊びの大きさも目立ちやすくなるので、見栄えとしても端子を支える意味でもそれはよろしくない。落とし所が難しそうだ。

ブースで自ら説明を行う海上忍氏(編集部撮影)

製品版を実際に組んでみないことには最終判断はできないが、海上氏のお話を聞きサンプルの実物を見た限りでは、こちらのケースはそういった地味な部分までしっかり作り込まれているようだ。このケース自体はもちろん、今後このケースのクオリティを基準として上質なワンボードオーディオ規格のケース製品がさらに登場してくることにも期待したい。

▼【第2位】国内カスタムイヤモニがまだまだ熱い!

イヤモニ分野での最大のインパクトはやはりJH Audio「LOLA」。

【ニュース】JH Audioのハイブリッド型イヤホン「LOLA」初披露

ただそちらは上記の記事に「ブランド創始者であるジェリー・ハービー氏も来日し、ブースにて製品をアピール。同氏にはLOLAの開発経緯や新技術についてインタビューを行う予定なので、そちらも記事もご期待いただきたい」と記載されており、僕としてもそちらを楽しみにしておきたい。

なのでここでは国内メーカーのイヤモニ新製品などの方をチェックしておく。

まずはFitEar「Custom」。

会場先行販売価格は税込75,000円だったが、一般販売の価格や時期は未定

「ミドルレッグシェル」が今回の新機軸

同社のハイブリッド構成モデル「FitEar Air」に採用されている斬新な「ショートレッグシェル」は、装着時に耳の中に密閉される空気の容積を増やすことでダイナミック型ドライバーの振動板にかかる負荷を下げ、その性能を十分に発揮させるためのものだった。

そのショートレッグシェル、もちろんFitEarとして納得できるだけの遮音性は確保できたというが、やはり通常のロングレッグと比べれば遮音性は少し低かったとのこと。そこで今回のモデルではその中間となる「ミドル」を採用。結果、ロングレッグにより近い遮音性とダイナミック型ドライバーのためのショートレッグの副産物だった挿入の少ない装着感を兼ね備えるものができたとのことだ。

なおドライバー構成は非公開だが、前述の要素を考えれば「ダイナミック型は使っていない」と想像するのが妥当だろう。

くみたてLabからは「NEXT 5」シリーズ3モデルが一気に登場。

こちらは「KL-CORONA」。このモデルには樹脂充填オプションが用意されており、クリアシェルがさらに映える

「KL-SIRIUS」も樹脂充填オプションあり

今回のシリーズの特徴的な技術は「KL-CORONA」と「KL-SIRIUS」に採用されている、デュアルBAドライバーを低域用+中域用や中域用+高域用の1基+1基の2ウェイとして利用する手法。2基のドライバーを一体化したパッケージとして提供されているデュアルドライバーユニットを、あえてシングルドライバー2基として使っているということだ。

それ普通にシングルユニットを2基使うのと何が違うの?というところをお聞きしたところ、そこには実に「なるほど!」な理由があった。

「シェルに組み込むユニットの数を減らせる=作業工程を減らせるのでコストダウンにつながる」

「デュアルドライバーは音の出口のノズルがユニット時点であらかじめひとつにまとめられているので組み込みの自由度も作業性も上がる」

なるほど実に合理的!くみたてLabらしい発想だ。

Just earはイベント限定チューニングなどは特になかったが、今回からは「SONYのJust ear」としての出展。試聴機のフェイスプレートにも「SONY」ロゴが入っていた。

「SONY」ロゴが入った他に実は、スピン仕上げの目をかなり細かいものに変更。ギラッとした反射をしないように調整したとのこと

とはいえ相変わらずの白衣集団

「SONY」ロゴが入った他に実は、スピン仕上げの目をかなり細かいものに変更。ギラッとした反射をしないように調整したとのこと

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