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【特別企画】連続レポート第1回

10万円切る人気モデルの実力は? 評論家が徹底分析 ー OPPO UHD BDプレーヤー「UDP-203」

公開日 2017/03/03 10:05 小原由夫
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DACチップ「AK4458VN」を新搭載。高いサウンドパフォーマンスを発揮する

オーディオ面のチェックは、まずはCDを再生する。試聴には「ピュアオーディオモード」を選択したが、これは映像系の処理をすべて停止して、内部で発生するノイズを低減させ高音質を実現するというものだ。前面ディスプレイも消灯される。

UDP-203の試聴を行う小原由夫氏

井筒香奈江の「リンデンバウムより」から、<氷の世界>を再生。驚いたのは、その艶っぽい 声の質感と、きめ細かなニュアンス描写だ。彼女の声特有の気怠さと柔らかさが実感できるし、ベースのテンポとの掛け合いもいい。ローレベルの音の実在感がここまで出せるユニバーサルプレーヤーはそうそうない。

思うに、USP-203のこの再生音の良さは、内蔵の旭化成エレクトロニクス製のDACチップ「AK4458VN」に負う部分が大きいのではないだろうか。アナログ回路等その周辺部の設計の巧みさも勿論あると思うが、このチップのS/Nの高さと低歪み、32ビット分解能というスペックが本機のサウンドパフォーマンスに寄与していることは間違いない。しかもマルチチャンネルに対応したチップなので、本機のようなコンセプトのユニバーサルプレーヤーには打ってつけといえる。

SACDやハイレゾでも躍動感のあるサウンドが楽しめる

SACDは話題の若きマエストロ、アンドレア・バッティストーニと、こちらも日本の若き俊英、反田恭平のピアノによるラフマニノフのピアノ協奏曲第2番。ここでもDSD入力に対応した(11.2MHzまで)旭化成「AKM4458VN」の真骨頂が感じられる。ピアノの定位を克明に捉えつつ、その向こうにオーケストラが扇状に展開する様がスケール感豊かに再現されたからだ。

ピアノとオーケストラの主従関係がこれほどくっきりと出るのは、録音のよさもさることながら、UDP-203のオーディオ性能の高さといえるだろう 。それにしても反田の流麗で粒立ちのよいピアノは力強い。バッティストーニの指揮も実に溌剌としており、若い二人ならではの躍動感と勢いが、再生音からビンビンと伝わってくる。


ファイル再生時には、アルバムアートも高解像度表示。ファイル形式やサンプリング/ビットレートも確認できる
最後にUSBメモリーを本体前面に直に差し、音楽ファイルを再生した。NHK「ブラタモリ」のエンディングテーマとしてお馴染みの井上陽水の<瞬き>だ。アダルトで軽快なリズムに乗った美声がしっとり響く。ギターを爪弾くアルペジオの旋律も美しく、とてもニュアンスが豊か。

今回組合せたモニターオーディオのスピーカーの特質である、素材を統一したマルチウェイドライバーならではのユニット間のつながりの良さがしっかり表れている(ちなみにDSDファイル再生は5.6MHzまで対応。11.2MHzファイルはダウンコンバートするのでなく、はじいて次の曲を再生する)。



10万円を切る価格ということもあり、UDP-203の市場での反応は上々のようだ。絵と音にこだわりのある4K予備軍、あるいはマルチチャンネル派の人にとって、本機は大いに気になる存在といえるだろう。その期待に応えるだけのポテンシャルは十分備わっていると、私からは申し添えたい。

(小原由夫)



特別企画 協力:OPPO Digital Jppan

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