【特別企画】評論家・折原一也が製品をチェック

東芝の液晶テレビ「レグザ Z810X」が「実は最も狙い目」な理由とは? 画質傾向と技術背景に迫る!

折原一也

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2017年02月27日

そんなレグザの高画質の要となるのが、映像エンジン「レグザエンジン Beauty PRO」。有機ELモデル「X910シリーズ」に搭載されている「OLED レグザエンジン Beauty PRO」と基本性能は共通で、液晶というパネルデバイスの特性に合わせてチューニングしている。

同社が「全面直下LEDバックライト」と呼ぶ直下型バックライトの緻密なエリアコントロールと、8K時代も見据えて開発したという新エンジン「レグザエンジン Beauty PRO」を液晶用に最適化し搭載することで画質向上を図っている

その「レグザエンジン Beauty PRO」による高画質化技術の中で特にポイントとなっているのが、人の肌をキレイに見せるということ。キレイにとは、正確に言うと人肌の自然な質感を描き出すということだ。

取材時の折原氏

この「Z810Xシリーズ」を見てみると、従来は黄色がかっていて不自然に見えた人肌が、ナチュラルに艶やかな肌色の階調を出せていることに気づく。これがレグザによる「美肌リアライザー」の効果だ。

肌色の輝度ヒストグラムを解析し、顔の最明部が映像の最大輝度かをチェック。階調特性を制御して肌の質感をより美しくリアルに再現する

「これまでのテレビでは、人間の顔のハイライト部が白飛びしたり、色飽和して緑にシフトしているものもありました。明るさを出そうとするとどうしてもそのようになりがちなのですが、今回我々は無理な明るさ競争をやめて、“リアルなキレイさ”の競争にしようとしたのです」(本村氏)という。

ターゲットとなっているのは、特に地デジ番組に多い、肌にライトがあたっているような箇所。

「肌色の輝度ヒストグラムを使って肌色の輝度分布を検出して、放送時に圧縮されている高輝度の画像部分を復元します。これによって肌の質感を出しつつ立体感を出しています」(住吉氏)とのこと。映像から撮影時の状況を分析し、技術的な裏付けによって、リアリティのある人肌の再現を目指しているのだ。

美肌リアライザー適用の有無による特性の違い。質感リアライザー特性のグラフにおいて、適用なし(右)では最明部のグラフ線が寝てしまっているのに対し、適用あり(左)ではキチンと立っている

この他にも、レグザの地デジ高画質化に対する取り組みは数多い。

地デジで採用されている圧縮方式のMPEG2は1995年登場と20年以上前に規格化されたものがベースになっている。つまり、地デジ放送そのものの画質が基本的にあまり高いわけではない。だが、このMPEG2圧縮での放送に今後もしばらくは付き合い続けなくてはいけないのが現実だ。

これに対して今回の新レグザが搭載したのが「アダプティブフレーム超解像」技術。映像の前後5フレームを参照した上で「映像の平坦な部分ではノイズリダクション処理を、テクスチャーのようなでこぼこした部分は超解像処理を行います」(住吉氏)という、超解像とノイズリダクション処理を一体化させたものだ。これにより、ぼやけてノイズも多い地デジ映像も高精細化する。

単純に前後5フレームを参照するのではなく、映像ソースの種類ごとに最適な参照フレームを選ぶことで従来よりもさらに鮮明な超解像処理を実現した

加えて、レグザは以前から文字周りのモスキートノイズのケアなどにも気を配ってきた。このように、地デジで放送される番組特有の映像に対するチューニングを連綿と続けているのだ。

実際に見てみても、情報番組のテロップ周りのモスキートノイズをクリアに除去していることは見事。加えて、画面全体に動きのあるシーンでもノイズが発生せず、地デジ番組の高画質化は、まさしく手慣れたものと言ったところだ。

「4KやHDRなどの最新技術に比べれば、20年前からあるMPEG2というテーマは、言うなれば技術者魂に“火は付かない”ことかもしれません。しかし、高画質化のためにそんな地味な部分も地道に続けてきているのです」(本村氏)。レグザが実現する高画質の根底には、このような愚直なまでの姿勢があるのだ。

■新機軸の高画質化技術「AI機械学習HDR復元」

もちろん、「Z810Xシリーズ」の高画質化への取り組みは、テレビ番組に対するものだけではない。BDソフト、UltraHD Blu-rayソフトを観るようなこだわり派AVファンに向けた取り組みも数多く行われている。中でも特長的なものが「AI機械学習HDR復元」だ。

なぜ「Z810Xシリーズ」が“実は最も狙い目のモデル”なのか?

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