連載:折原一也の“いまシュン!”ビジュアルプロダクト

【レビュー】“異次元の高画質”。5,000ルーメンのソニー新4K/HDRプロジェクター「VPL-VW5000」

折原一也
2016年11月01日
■レーザー光源で輝度5,000ルーメン実現したソニー「VPL-VW5000」

今回取り上げるソニーのプロジェクター「VPL-VP5000」

2016年はUltraHD Blu-rayの登場に呼応するようにHDR対応モデルが数多く登場した。その一つがHDR画質の基準を大幅に引き上げたソニーの液晶テレビ「ブラビア Z9Dシリーズ」(レビュー記事)だった。

しかし同社のビジュアル機器としてはもう一つ、忘れてはならないモデルがある。これまで海外展開のみだったところから、ついに国内でも展開されることになったプロジェクター「VPL-VW5000」だ。

天面

本体側面の端子部。HDMI端子は2系統ともHDCP2.2に対応

受注製品扱いで価格は800万円という、かつての三管式プロジェクターに迫る、あるいは上回るほどの高価格、筐体にはソニーの展開するSXRDによるネイティブ4K素子(4,096×2,160×3)に、新開発のレーザー光源による5,000ルーメンの輝度スペック、さらに水冷システムと、業務用モデルのような仕様を備えたモデル。いまのHDRの画質を語る上では必ずチェックしておくべきプロジェクターだ。

独自の密閉構造を採用

これまでは一般的に、プロジェクターはHDRと相性の悪いものと語られてきた。その一例とも言えるのが、4K/HDRの画質基準であるUltra HD Premiumの規定は、主にテレビに関するものであること。Ultra HD Premiumにはプロジェクターを評価するための基準は存在しないのだ。

プロジェクター側の回答はどうだったかというと、例えばソニーの4Kプロジェクター「VPL-VW515」であれば、絶対的な輝度が足りない中、黒の締りとのコントラストによる“輝き感”で上手くHDRを再現していた。これは10月に登場し「VPL-VW535」でも進化した形で継承されている。

ただ、HDRらしさを味わえても、例えば「ブラビア Z9D」で観るような、これまでの画質の基準を変えるほどのHDR表現はプロジェクターでは不可能なのではないかと思っていた。しかしそんななかで認識を改めさせられたのが「VPL-VW5000」だった。

本機はBT.2020もほぼカバー

■プロジェクターによるHDR表現の限界を越えた異次元の高画質

試聴はソニーの視聴室にて行った。120インチスクリーンでまず観たのは、UltraHD Blu-rayチェックの際の定番ソースである『アメイジングスパイダーマン2』だ。

チャプター7、エレクトロがタイムズスクエアに現れるシーンでは、新開発4Kレンズが画面全体を圧倒的な鮮明さで描き出す。ネオンの光が画面内に現れる度に、光線の描写力に圧倒された。同時に暗部の沈み込みも濃密。HDR対応液晶テレビでも、ここまで再現できるモデルはほとんどない。

『レヴェナント: 蘇えりし者』のUltraHD Blu-rayを観ても、その表現力は凄まじい。

元々HDRらしい輝きを主軸に置いた作品ではないが、冒頭のチャプター1の長回しで撮られた映像でも、ディカプリオを始めとした人物の顔のみならず、地面で呻き倒れる人の肌の質感、情報にまで目を奪われる。そして時おりカメラに飛び込む太陽の眩しさとともに、日輪の形もピークの中の階調までも見て取れる。

「VPL-VW5000」の映像を観て、プロジェクターでも「本当のHDRらしさ」を実感してしまった。『アメイジングスパイダーマン2』では「Z9D」に並ぶHDRの再現性を実感し、『レヴェナント: 蘇えりし者』では、画面全体の情報量までも抉るように描き出す様子に、「Z9D」すら越えたのではないかと唸らされた。劇場でも観た両作品だが、当然のことながら劇場上映の画質は、既に余裕で越えている。

さらに付け加えるなら、これほどの異次元の高画質でありながら「VPL-VW5000」の動作音も最大35dB(スペック値)という静音性を実現。実際の動作音でいうと、背面に近づいてようやく動作音に気づく水準だ。

本機「VPL-VW5000」を除く現在のソニーのプロジェクターのラインナップの頂点は2013年発売の「VPL-VW1100ES」(170万円)。HDR対応の有無を除けば、2011年発売ながら今なお4Kプロジェクターの最高画質として君臨するほどの名機だ。

さらにその上を行く超ハイエンドとして登場した「VPL-VW5000」は、それ以上の長い年月に渡り、あらゆる4K/HDRプロジェクターの頂点にとどまるポテンシャルを秘めている。

関連記事