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海上忍のラズパイ・オーディオ通信(20)

話題の音楽ストリーミングサービス “Spotify” をラズパイ・オーディオで楽しむ

2016/10/13 海上 忍
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話題の「Spotify」をラズパイ・オーディオで

前置きが長くなったが、現在公開されているプラグインでもっともニーズがあると思われるのは「Spotify」だ。その名のとおり、9月に日本でもサービスインしたSpotify(関連ニュース)を利用するためのプラグインで、フルサービスを利用できる。仕様上プレミアム会員への登録が利用の条件となるが、ラズパイ・オーディオの価値を高めること間違いなしのプラグインといえる。

ところで、Spotifyは比較的仕様がオープンな音楽サービスといえる。サービス開始当初からWeb APIを公開、サンプルコードやリファレンス情報が充実したデベロッパー向けWebサイト(こちら)を整備し、特定のハード/OSに限定しないクライアントソフトウェアの開発を促している。VolumioのSpotifyプラグインは、公開されているLibspotify SDKをARMアーキテクチャ上で動作するようビルドし、それをVolumioで動作するよう体裁を整えたものだ。

インストールはかんたん。Volumio 2(最新版は7月公開のRC2 HOTFIX)にWebブラウザでアクセスし、設定項目にある「PLUGINS」でSpotifyプラグインをインストール、その後Spotifyで登録したユーザIDとパスワードを入力すればいい。スイッチが「Active」になったことを確認すればOKだ。

ただし、これで十分ではない。Spotifyプラグイン……といっても、その実体はspop(Volumioとは無関係に開発されているSpotify受信用クライアント)であり、その設定ファイルである/etc/spopd.confを参照している。この設定ファイルが正しくコンフィグレーションされないかぎり、Spotifyは受信できない。

筆者もその「罠」に嵌まったクチだ。Web GUIからSpotifyの楽曲をブラウジングできるようになったものの、ラズパイ・オーディオから音が出ない。普段聴いている(MPDにより管理されている)楽曲は問題なく再生できるのに……

/etc/spopd.confを確認したところ、初期設定ではオーディオ信号の出力先(output_name)が「hw:1」に設定されていたためと判明。今回視聴に利用したRaspberry Pi Zeroは、前回紹介したGPIO接続のDACボードを搭載しており、オーディオシステム(ALSA)ではデバイス番号0として認識されている。初期設定では番号1のデバイスへ出力してしまうため、音が出なかったというわけだ。


「aplay -l」でALSAが使用するオーディオデバイスを確認。デバイス番号0と確認できた
そこでテキストエディタのnanoを使い、/etc/spopd.confにあるoutput_name行を「hw:0」に修正した(当然SSHでリモートログインしての作業)。初期値では、サンプルレートコンバータとして機能するSoXを経由する設定となっていたため、ALSAへそのまま出力するようaudio_output行を「ao」に、output_type行を「alsa」にそれぞれ修正している。


Raspberry Pi ZeroにSSHでリモートログイン、テキストエディタ「nano」でspopの設定ファイルを編集した
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・変更後の/etc/spopd.conf

[spop]
spotify_username = XXXXXX
spotify_password = XXXXXX


high_bitrate = true
audio_output = ao
pretty_json = true
search_results = 50
cache_path =/run/shm

[sox]
output_type = alsa
output_name = hw:0
- - - - -

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