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[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域

【第162回】「ポタ研2016夏」で高橋敦が気になったものベスト5を大発表!

2016/08/05 高橋 敦
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【第4位】Bursonのデスクトップオールインワン登場間近?

Burson AudioのUSB-DAC+ヘッドホンアンプ/プリアンプのオールインワンは以前から参考出品として展示されていたが、今回はたぶんほぼ完成版と思われるものが展示されていた。

「Conductor V2+」というのがそのモデル名。本国では「Conductor V2」というアンプが基本形で、「+」は拡張ボードでDAC機能を追加した形態という展開のようだ。

右のヘッドホンアンプ単体機「Soloist SL MK2」と比べると高さの他は大型化されている

アンプ部で「Soloist」との明らかな違いとしてはボリュームコントロールがデジタルになったこと

出力音量固定のラインアウトの他に出力音量可変のプリアウトも装備。ヘッドホンが接続されていればそちらが優先されてプリアウトはミュート、ヘッドホンが接続されていない状態ではプリアウトから音声信号が出力されるという動作になるそうだ。パワードスピーカーとこれを組み合わせれば、ヘッドホン&スピーカーのデスクトップシステムをシンプルに構築できるだろう。

同社のアンプの設計哲学やそのクオリティはヘッドホンアンプ単体モデルである「Soloist SL」「Soloist SL MK2」ですでに証明されており、そこも信頼できる。

機能のまとめ方というか形態や用途としてはLUXMAN「DA-250」とだいたい同じタイプだ。どちらのモデルもデスクトップ設置にはちょっと大きすぎ感はあるが、オールインワンなのでケーブルの取り回しなどには悩まされない。設置スペース的にいけそうな方はチェックしてみてほしい。

【番外編】参考出品でさえもないFitEar Air Tiを発見

さて、個人的には大注目なのだが参考出品さえもされていなかったアイテムなのでこちらは番外編扱い。今回FitEarの須山氏が首から下げていたのはつい先日に試作されたという「FitEar Air Ti」。「Ti」はチタンシェルを表している。

輝いていてぐにゃぐにゃしており、素早くてすぐ逃げるけど倒せたら経験値たくさんもらえそう感のあるルックス


須山氏としては「一般的な構造のBAイヤモニでは金属シェルに音質的メリットはほぼない」と考えており、またFitEarのラインナップはそのBA型で構成されていたので、これまで金属シェルはネタとして18Kモデルが試作された程度だった。

しかし最新CIEM「FitEar Air」はハイブリッド型であり、ダイナミック型ドライバーも搭載している。ならば?ということでネタではなく試作してみたということのようだ。

製造のうち成形工程はレーザーシンタリング、チタンの粉末をレーザーの熱で焼結させるいわゆる3Dプリントの一種で行われるが、そこから先が職人技の世界。水銀やはぐれメタルを思わせるようなこの輝きは、須山"歯研"の研磨マイスターこと、金属床課の某氏による研磨によるものとのこと。

一口にチタンといっても合金的な配合などでその特性も様々だが今回使われているのは比較的粘りが強いチタンだそうで、粘りが強い素材は削ったり磨いたりするのが難しい。しかもフィットのことを考えると、研磨前後でのサイズの狂いもできるだけ出したくないので、そこにも難しさがある。

…のだがマイスターそこさくっとクリアで、須山氏も毎度のことながらその腕に驚いたとのこと。なおこの研磨は単に美観向上のためなだけではなく、装着時に抵抗少なくぬるっと入るように、汚れがつきにくいようになど、実用的な意味合いの方が強いとのこと。

さて音質についても須山氏に聞いてみると、特に例えば低音の締まり方などは違って聴こえるという。素材の自体の響き方の他、素材の強度が高い分だけ樹脂よりもシェルを薄くできるとのことで、外寸が同じであれば内容積は僅かながら増えてもいるだろう。そういった要素も多少は関係しているのかもしれない。

ただこの試作機についてはチタンシェルの他にもうひとつ実験的要素を組み込んでいるそうで、厳密に同じ条件でシェルの違いだけを聴き比べたわけではないとのことだ。

こちらモノ自体は須山氏としては好感触で、「ネタにしかならないような非常識な価格ではなく真っ当な値段で販売できる見込みがつけば製品化したい」とのこと。期待して待ちたい。

次ページ第3位は…ポタフェスのリベンジでやっと体験できたあの極小イヤホン

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