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海上忍のラズパイ・オーディオ通信(13)

話題の64bit機「Raspberry Pi 3」のオーディオ性能をテスト!乗り換えるメリットは?

公開日 2016/04/07 10:30 海上 忍
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細かいことをいうと、ボード前面にある赤/緑のLEDが、右寄りから左寄りへと移動した。ケースの取り付けには支障ないが、LEDが見えるように配慮したケースの場合、それがムダになってしまう。microSDカードのソケットはバネがなくなり、勢いよく飛び出して紛失してしまう事故はなくなったが、爪で引っかけないと取り出しにくくなってしまった。

Raspberry Pi 2(右)と3(左)の基板。大きなレイアウト変更はないが、LEDの位置など微妙な違いはある

Raspberry Pi 2と3の外箱。2はSONYのイギリス・ウェールズ工場で製造されたRS Components版、3は中国製のelement14版だ

■オーディオ機能はどう変わった?

Raspberry Pi 3をオーディオ用途に使えるかどうかだが、結論からいえば「支障なく使える」ものの、いくつか注意が必要だ。

ハードウェアとしての観点からいえば、Wi-Fiチップがオンボードとなったため、USB型Wi-Fiアダプタを用意する必要がなくなった。「Raspberry Pi 3対応」をうたうシステムであれば、標準装備のドライバ(brcmfmac)で動作するはずで、モジュールの設定など面倒な手順を踏まずにWi-Fiを利用できると考えていい。実際、本連載がターゲットとするOS「Volumio」は、最新開発版(Volumio 2 RC1)を利用したところ、Web UIからアクセスポイントを登録するだけでWi-Fiが利用可能となった。

筆者のラズパイ・オーディオ視聴環境。Wi-Fiアダプタが占有していたポートは開放され、USBメモリなどストレージ類の着脱が容易になった

ソフトウェアは、OSに関しては入れ替えが必要だ。Raspberry Pi 3対応はNOOBS v1.8.0以降とされており、これに基づいたOSをmicroSDカードへインストールすることになる。試しにRaspberry Pi 2で利用しているVolumio 1.55のディスクで起動しようとしたところ、Raspberry Pi 3ではブートに失敗した。なお、Volumio 2 RC1はNOOBS v1.9をベースとしているので、同じディスクでRaspberry Pi 2と3両方での起動に成功している。

オーディオ用途に関していえば、FLAC 192kHz/24bitやDSD 5.6MHz(DoP)などのハイレゾ音源を再生してもCPU使用率は7%前後で安定しており、USBメモリの抜き差しなど瞬間的に高負荷が発生する処理を行わないかぎりスムーズに再生できる。

FLAC 192kHz/24bit再生時にtopコマンドを実行したところ。CPU負荷は7%前後で安定している

Volumio 2 RC1に関していえば、Web UIの処理が高速化したこともあり、操作のレスポンスも良い。Raspberry Pi 2との比較においても、操作感はこちらのほうが1枚上だ。Volumio 2は64bit化されていないため、パフォーマンスの伸び代はあるが、オーディオ再生用途にかぎっていえば現状でもじゅうぶん対応できる。

「getconf LONG_BIT」の戻り値が「32」であることからわかるとおり、Volumio 2は32bitカーネルで動作している

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