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光デジタル出力も装備した話題作

【レビュー】楽しみ方自由自在! ティアックの新レコードプレーヤー「TN-570」を聴く

公開日 2016/03/10 10:00 山之内 正
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カートリッジ変更による音質向上は劇的に大きい

カートリッジによる音の違いは劇的と呼べるほど大きく、CDプレーヤーなどデジタル製品では真似できない大幅なグレードアップが実現する。2500に変えると、ぬくもり感のある音調はそのままにベースの音像が引き締まり、左右のセパレーションも一段階アップして、ハイファイ志向の強い音に生まれ変わった。ギターやピアノの実在感が上がってリズムのキレが良くなり、音の鮮度が上がることも見逃せない変化の一つで、カーペンターズのアルバム本来の洗練された音作りが見事に蘇る。

今回の取材にはティアックの和紙製ターンテーブルシート「TA-TS30UN」を試用した

セパレーションの向上は、空間情報だけでなく時間軸方向の解像度を上げる効果も発揮する。加藤訓子『Counterpoint』ではマリンバが一音一音クリアな粒立ちでリズムを刻み、小さな変化が波動のように拡大する構造が鮮やかに浮かび上がってきた。音色の変化だけでなく、リズムやハーモニーをリアルに描き出すアナログ特有の面白さを発見することにも、最新録音をあえてレコードで聴く楽しみがひそんでいるのだ。

光デジタル出力のメリットとそのクオリティを体感

TN-570はアナログ出力に加えて、フォノイコライザー出力をA/D変換したデジタル出力を取り出すこともできる。レコードのアーカイブ用には48kHz/16bitのUSB出力、外部D/Aコンバーターとの組み合わせには最大192kHz/24bitの光出力をそれぞれ利用できるが、今回はティアックのUD-503を用意し、後者の再生音を聴いてみることにした。

TN-570の光デジタル出力をUD-503に入力し、再生した

デジタル接続のメリットは、フォノ出力の直後でA/D変換を行い、劣化のないデジタル伝送でD/Aコンバーターに入力してアンプに音を届けられることにある。フォノ出力経由のアナログ接続に比べると接点やケーブルでの劣化がなく、純度の高い再生音が期待できる。

TN-570の出力を光で取り出した再生音は、アナログ接続に比べて付帯音がさらに減って見通しが良くなるが、ヴォーカルやベースは実在感たっぷりで、オリジナル音源の特徴やバランスを大きく変えることはない。背面の切替スイッチでサンプリング周波数を48kHz、96kHz、192kHzから選ぶことができ、音場の立体感が若干変化するので、組み合わせるD/Aコンバーターに合わせて音の微妙なチューニングに利用すると良いだろう。



カートリッジ交換ができるアナログプレーヤーは音の変化を楽しむ醍醐味がある。TN-570はそれにとどまらず、ライン出力とフォノ出力を切り替えたり、あえてデジタル出力を選択するなど、さらに変化に富んだ使いこないができる点が新しく、リスナーの楽しみを大きく広げてくれる。自ら手を動かして音を追い込む楽しみを追求したい人にお薦めしたい。

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