旗艦機“Grandioso”直系のスタンダード機

エソテリック「C-03Xs/S-03」レビュー。音楽の“静と動”を描き切るセパレートアンプ

大橋伸太郎

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2016年02月24日
Grandiosoの血統を受け継ぐ中堅セパレートアンプ

昨年のオーディオ界最大の出来事は、エソテリックのフラグシップ“Grandioso”シリーズにステレオ・パワーアンプ「S1」が加わり、ラインナップが完成したことだろう。今後フォノアンプ等の追加が予想されるが、トランスポート、D/Aコンバーター、プリアンプ、ステレオ/モノラル・パワーアンプというGrandiosoのラインナップ完成により、これまで国産オーディオが直前で足踏みしていた感のある“スーパーハイエンド”の領域に、エソテリックが確かな足場を築いたと言えるのではないか。

【写真右】プリアンプ「C-03Xs」 ¥800,000(税抜)【写真左】ステレオ・パワーアンプ「S-03」¥900,000(税抜)

Grandiosoでフルシステムを組むと、トータルの価格は実に800万〜1000万円に達する。従ってGrandiosoを享受できるのは、富豪とまで言わずともごく少数の裕福なファンに限られる。しかしエソテリックは、Glandiosoの開発経験と技術要素を投入することでレギュラーラインの充実も図っている。この点にも注目したい。

今回は、昨年9月に発売されたプリアンプ「C-03X」とパワーアンプ「S-03」のペアにスポットを当ててみることにしよう。

エソテリックのレギュラーラインは、品番数字の若いほど上位グレードであることを表す。C-02X/S-02は昨年4月に新モデルへと一足先に交替した。今回紹介する“03”シリーズは、エソテリックの世界へ開かれた最新の入り口にして、Grandiosoのエッセンスが味わえる旬な中核ラインと言える。

完全デュアルモノ&フルバランス構成を採用したプリアンプ「C-03Xs」

エソテリックは“03”シリーズの着想について、「オーディオコンポーネントの原点に帰ったミニマルアプローチ」という表現をしている。“ミニマル(最小限)”は“シンプル”と言い換えることもできるだろう。その場合、シンプルは「簡素」というより「整然」という和語が当てはまるのではないか。

エソテリックのステレオ構成には厳密なデュアルモノラル構成が採用され、それはGrandiosoもレギュラーラインも同様だ。プリアンプ「C-03Xs」も、電源部から左右チャンネル間の相互干渉を排除する完全デュアルモノ設計で、左右それぞれが専用の電源トランスを持つ。クロストークの排除にとどまらず、電源ラインを経由したノイズの混入も防ぐことが目的だ。左右独立の電源整流回路基板は新規設計となる。電源回路パターンにGrandiosoのプリアンプ「C1」の技術を取り入れ、“Grandioso以後”に相応しい音質を狙った。

C-03Xs

C-03Xsはアナログ入力(RCA3系統、RCA外部プリ、XLR2系統)に特化しており、デジタル入力は持たない。したがってまずバッファーの品位が問われるが、本機は入力系統毎に専用のバッファーアンプを持つ。しかもフルバランス設計で、プリアウトまで一貫した低インピーダンスのフルバランス信号伝送を行い、コモンモードノイズを除去。信号経路上の外来ノイズの影響を可能な限り排除した。

背面端子部

本機が搭載するESOTERIC-HCLD出力バッファー回路は、スルーレート(過渡特性の目安)が2000V/μsに達する、電流出力能力の高いハイスピード素子を採用。XLR、RCAの全4系統の出力を独立したバッファー回路構成とすることで、電流供給能力を高め瞬発力を確保した。バッファー回路の直近には「C1」用に開発されたEDLC(スーパーキャパシター)アレイを搭載。これは一種の安定化電源で、合計100,000μF(0.1F)/chという大容量がハイエンドに恥じない低域再生を支える。

圧倒的な“瞬発力”と“静寂”があらゆる音楽を躍動的に描く

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