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アナログ入力/デジタル入力の音質を検証

【レビュー】USB-DAC搭載などで大幅刷新、デノン新プリメインアンプ「PMA-2500NE」を聴く

公開日 2016/02/12 10:17 山之内 正
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SACDで復刻されたオリヴァー・ネルソンの『ブルースの真実』をPMA-2500NEで再生すると、今回のリマスタリングの特徴である付帯音のない澄んだ音調を聴き取ることができた。特にフレディ・ハバードのトランペットは、高い音域でめまぐるしく動き回るのに音色に荒れたところがなく、あらためて感嘆させられる。ポール・チェンバースのベースも本来のスムーズな動きでリズムを刻み、再生システム側でテンポを重たくしないことの大切さを思い知らされた。エリック・ドルフィーのフルートとサックスはこのアルバムでも激しい跳躍や音の勢いが半端ではなく、本機で再生するとそのアグレッシブな演奏の醍醐味がストレートに伝わってくる。このアルバムでは従来機からの音の変化がとてもよくわかる。ひとことで言えば、ミュージシャンとの距離が一気に縮まるという感覚が一番近いだろう。

試聴では、DNP-2500NEと比較しつつ、デジタル入力の音質も集中的に確認した

高S/Nで豊かな情報量。USB入力の完成度は非常に高い

USB入力は、11.2MHz DSDに対応するなど、同シリーズのネットワークプレーヤー/USB-DACである「DNP-2500NE」と同等の性能・仕様に仕上げられているが、筐体や電源を含め周辺の構成は異なるので、同じ音にはならないはずだ。実際に本機とDNP-2500NEを聴き比べてみると、微妙なレベルながら確実な音調の違いを聴き取ることができた。

本機はDACのアナログ出力がそのまま最短距離でアンプに入るためか、一音一音の粒立ちがクリアで、パーカッションなどリズム楽器から実在感の高い音を引き出す点に特徴がある。特にヤンセンが弾くバッハのヴァイオリンソナタなど、PCMのハイレゾ音源でその傾向が際立っている。あと少しその傾向が強いと、鮮鋭感が前面に出て主張の強い音になりそうな気がするが、本機の音にはそこまでの強調感はなく、音調としてはニュートラルな範囲に収まっている。情報量やS/Nなどの基本性能には十分な余裕があり、USB入力の完成度は非常に高いと言える。

PMA-2500NEのデジタル基板。強固なシャーシに納められ、ノイズ対策も徹底されている

一方、DNP-2500NEのUSB入力の再生音は、本機とは微妙に異なる方向に感じられる。一音一音の粒立ちや鮮鋭感よりも、澄んだ音場の広がりやなめらかな質感に特徴があり、特に声やアコースティック楽器のタッチにその美点を実感することができた。ヴォーカルの子音の立ち方も、わずかだが本機の方が強めで、DNP-2500NEに比べて声の音像が少し手前に迫り出してくるようだ。そうした微妙な音調の違いは、PCM音源の方が差が現れやすく、DSD音源については、3次元の立体的な空間再現と息の長いフレーズ感などの特徴を2機種のUSB入力に共通して聴き取ることができる。

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