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[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域

【第145回】小型モデル好きにお薦めのハイレゾDAP!コウォン「PLENUE D」レビュー

公開日 2016/02/05 10:00 高橋 敦
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■音質チェック

音調としては…やっぱり普通だが、この価格帯にして普通と感じられる音調を確保しているのだからやはり見事だ。例えば音を複雑に高密度に詰め込んだメタル系サウンドでは音の分離に不足を感じたりはするが、そこで無理に輪郭だけを強めてあったりすれば相対的にギターの音の厚みが弱く聴こえたりもしてしまう。そういった小手先の調整をしていないので全体のバランスが崩れていない。

どこかの帯域やどれかの楽器が極端に目立つこともないので、エントリー機としては実に妥当でおすすめしやすいし、わかってる方がコンパクトなサブ機として使うとかでも大きな不満を感じることはないだろう。相性がよければ価格帯からの期待値を超えると感じてもらえるかもだし、相性がいまひとつでもこの価格帯への期待値は十分に満たすレベルだなとは感じてもらえるのではと思う。

強いて言えば、音のエッジは少し荒く感じる。女性ボーカルのシャープな成分やシンバルが少し雑味を帯びて刺さるのは少し残念だ。シリーズの既存上位モデルは高域の滑らかさも印象的だったので、さすがにここは価格なりには落ちているとも言える。しかしこの印象こそ逆に、何倍もの価格の上位モデルと比べてどうだとかいう比較が成り立つほどに真っ当な方向性の音だということの証明とも言えるかもしれない。

そしてこのモデルはこのシリーズらしく、イコライザーが充実している。前述のように5バンドのそれぞれで周波数帯域を調整できて±12段階だ。いちばん上の帯域を担当するイコライザー(6.9Hz〜13kHz)で11.7kHzか13kHzを選択して-2くらいすると、高域の荒さを目立たなくできる。

もちろん全体に少しソフトフォーカスな印象にもなるが、そういったトレードオフを受け入れれば調整できる範囲は広い。

■終わりに

それにしても最後に改めてもう一度歓迎せざるを得ないのはやはりこの価格とサイズ。これまで地味だが堅実に良い製品を出してきたこのメーカーからの登場だからこその信頼感も含めて、これは良いものを出してきてくれたなと思う。

高橋敦 TAKAHASHI,Atsushi
趣味も仕事も文章作成。仕事としての文章作成はオーディオ関連が主。他の趣味は読書、音楽鑑賞、アニメ鑑賞、映画鑑賞、エレクトリック・ギターの演奏と整備、猫の溺愛など。趣味を仕事に生かし仕事を趣味に生かして日々活動中。


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