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[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域

【第124回】超複雑な最近のヘッドホン&イヤホン端子をわかりやすくまとめてみた

公開日 2015/05/01 16:33 高橋敦
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▼XLR

オーディオにおいてもバランス"伝送"の端子として身近なものだったが、近年はヘッドホンのバランス"駆動"の端子としても活用されている。3極端子なら左右別の2端子、4極端子ならその1端子でバランス駆動用の接続が可能だ。そのどちらも採用例がある。

XLR 4極。写真だと角度と陰影的にピンが3本しか見えないが実際は4本ある。定番のNEUTRIK製端子

OPPO「HA-1」のバランス駆動出力もXLR 4極

6.35mm標準フォーンと同じくXLR 3極はプロオーディオでの標準であり、その信頼性は実証されている。サイズ的にポータブルへの採用は無理があるが据え置き機でのバランス駆動用としては、通常駆動用6.35mm端子等との挿し間違いなんて絶対にありえないし、納得の選択だ。

▼IRIS

小柄な角型の中に4極4ピンを搭載した端子。ポータブルでのバランス駆動端子として、多くはないがいくつかの採用例がある。最近ではPioneerのポータブルアンプ「XPA-700」がこれを採用して注目を集めた。イヤホンのリケーブル端子MMCXと同じく、本来はオーディオ用途を想定したものではない端子の流用のようだ。「小型で4極で通常駆動の3.5mm端子との挿し間違いが起きない」という条件に合致することが理由だろう。

Pioneer「XPA-700」の背面中央がIRISのバランス駆動端子

▼変換プラグ・変換ケーブル

ヘッドホン&イヤホンの端子の種類の話となれば、変換プラグについても触れないわけにはいかない。ヘッドホン&イヤホンとプレーヤーやアンプの端子の種類が合わないときのお助けアイテムだ。

いちばん基本的なのは、
●3.5mm→6.35mm
●6.35mm→3.5mm

の変換プラグだろう。

手前が3.5mm→6.35mm、奥が6.35mm→3.5mm。共にFURUTECHの高品質プラグ

AKG「K812」のプラグも3.5mmに6.35mmをかぶせる形を採用

というか近年の大型ヘッドホンは、最初から3.5mmプラグに6.35mm変換プラグを装着して使う前提のモデルが多い。大型ヘッドホンであれば据え置きアンプ等との組み合わせを想定して6.35mmプラグを採用した方が、余計な変換アダプタが必要なくて好ましいのではないか。そう感じる方も多いだろう。

なのにそうしない理由はおそらく、ヘッドホン側の6.35mmプラグに3.5mm変換プラグを装着するとプラグ周りが大柄で重くなり、ポータブルのアンプやプレーヤーの3.5mmジャックにかかる負荷が大きくなって接触や強度の面で不安が出るからだろう。

6.35mm→3.5mm変換プラグを使うとこんな感じになってしまう

逆に3.5mmプラグに6.35mm変換プラグを装着してアンプ等の6.35mmジャックに接続してもそれほど大柄にはならないし、6.35mmジャックは頑強なのでその程度の負荷ではびくともしない。

…ということで基本3.5mm+変換プラグで6.35mmという対応の方が、安全策的な意味で無難だ。なお6.35mm→3.5mmの変換が必要な場合、変換プラグよりは変換ケーブルの方が3.5mm側への負担は少ないだろう。そちらの利用も検討に値する。他のところでは、バランス駆動用端子の乱立に伴い、それらの間での変換プラグや変換ケーブルも登場している。まあこれについては、そんなものが必要がない平和な世の中がやってきてほしいものだ。

ALO Audioの、IRIS→2.5mm 4極変換ショートケーブル「SXC 24 2.5mm to Female Mini Balanced ALO-2675」


…ということで今回はヘッドホン&イヤホンの端子の種類についてまとめてみた。まあ何というか、こんなまとめ記事が成立するような複雑な状況は、なる早で脱してもらいたいというのが本当のところなのだが…。

高橋敦 TAKAHASHI,Atsushi
趣味も仕事も文章作成。仕事としての文章作成はオーディオ関連が主。他の趣味は読書、音楽鑑賞、アニメ鑑賞、映画鑑賞、エレクトリック・ギターの演奏と整備、猫の溺愛など。趣味を仕事に生かし仕事を趣味に生かして日々活動中。


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