[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域

【第124回】超複雑な最近のヘッドホン&イヤホン端子をわかりやすくまとめてみた

高橋敦

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2015年05月01日

▼2.5mm

2.5mmは、現在オーディオでそれなりに多く用いられている端子としては最小クラス。その小ささこそが最大の利点なので超小型機器に多く採用されてきた。往年のウォークマンのリモコン部分やカード型ラジオのイヤホン端子などだ。

しかし現在これが注目を集めているのはAstell&Kernが同社ハイエンドDAP「AK」シリーズにバランス駆動端子として2.5mm 4極を採用したことによる。ハイエンドDAP市場で同シリーズの存在感は大きいのでそれ用のリケーブル製品等も少なからず登場しており、この分野での認知度はすでにある程度確立している。

繰り返しになるがこちらがその2.5mm 4極 TRRS。写真はNOBUNAGA Labsのリケーブル製品

また少数ではあるが、2.5mm 2極×2(左右別接続)で4極を確保してバランス駆動対応というポータブルヘッドホンアンプもある。

なぜポータブル機器でのバランス駆動に採用されたのか。理由としては「通常駆動用の3.5mm端子との挿し間違いが起きないように」というのが大きいようだ。物理的に不可能にしておけば挿し間違いでのトラブルは回避できる。

AK120II。左手前が通常駆動の3.5mm端子、中央がバランス駆動の2.5mm端子

しかし一方で評判があまりよろしくないところもある。接触の確実性や耐久性だ。単純に、挿す側も受ける側も小さい上に極数を増やしてあるので、強度や固定力の確保が難しいことからだろう。

これについては、現時点ではポータブルオーディオのバランス駆動端子なんて用途は想定されていなかった規格の現存部品を使い回しているだけなのでそこに不安があるが、今後、より高精度高耐久性のパーツが普及すれば改善される…かもしれない。根本的な原因はその小ささそのものなわけだから大幅向上までは期待できないだろうが。

▼3.5mm

ポータブルオーディオの主流はもちろん3.5mm。用途としても普通に音声信号を伝送する他に4極や5極でリモコン&マイクやノイズキャンセリングに対応するなど、幅広く活用されている。

手前が3.5mm 3極、奥が3.5mm 4極。それぞれFitEar「MH335DWSR」、Apple「EarPod」のプラグ

しかしバランス駆動への採用例は多くはない。Sonyのポータブルアンプ「PHA-3」が2極×2で対応、HiFi-MANの一連のポータブルプレーヤーが4極で対応するくらいだ。その理由は単純に「通常駆動用の端子と見分けがつきにくく、挿し間違えでもできてしまう」からだろう。

Sony「PHA-3」は3.5mm端子を通常駆動用×1、バランス駆動用左右各×1の計3基搭載

しかしさらにしかし、近頃に増えてきた用途がある。「バランス駆動ではないんだけれど左右のグラウンドは個別に伝送するようにして左右のセパレーションの向上等を図る」という手法、そのための端子として3.5mm 4極を採用する例だ。

例えばこれは、OPPOのポータブルアンプ「HA-2」では「GNDセパレート設計」として紹介されている。同社ヘッドホン「PM-3」も「4極入力に対応したGNDセパレート設計」だ。またソニーも、ハイエンドポータブルDAC「NW-ZX2」にて「アンプからヘッドホンジャックへのGND線材をLとRに分けて配線」、ヘッドホン「MDR-1A」にて「独立グラウンドケーブル」という設計を採用している。

この「3.5mm 4極グラセパ」の利点としては、駆動方式自体はバランス駆動ではなく通常のシングルエンド駆動なので、バランス駆動のように専用のアンプ回路と端子を別途に用意する必要はなく、端子の挿し間違いなんて問題が起こらないというところもある。この手法は採用例もまだ多くないのでその効果の評価も定まりきっていないが、だからこそ注視すべきだろう。

OPPO「HA-2」のヘッドホン端子はグラセパ。もちろん外観からは判別できないが

続いて4.4mmとは? “標準”でおなじみの6.35mmも

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