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オーディオエンジン「S1LKi」搭載のUSBオーディオインターフェース

「聴く」も「録る」もハイクオリティ! ローランド渾身の一台「Super UA」を徹底レビュー

公開日 2015/04/20 12:05 高橋敦
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シンセサイザーやレコーディング機器、BOSSブランドのエフェクターなどで知られるローランド。オーディオファンの中には演奏や録音も趣味な方も少なからずだろうから、オーディオと別腹でローランドの製品に親しんでいたりもするのではないだろうか。僕も自宅ギターアンプ前にBOSSのCE-2とDM-2に常駐してもらっている。

そのローランドから去年登場した再生専用USBオーディオインターフェース(まぁ、つまりDAC)の「Mobile UA」は、その技術の独自性と音の実力でオーディオファンの中にも高く評価する人が少なからず。あの価格と小ささに対しての音の良さは大きなインパクトがあった。

ローランドが満を持して発売した“本格派直球”USBオーディオインターフェース「Super UA」(¥OPEN・予想実売価格¥70,000前後)

そして、このたび登場したのが再生専用でもモバイルでもない、本格派直球オーディオインターフェース「Super UA」だ。

最大の特徴、S1LKi(シルキー)に注目のワケ

まずは両モデル共通で最大の特徴、オーディオエンジン「S1LKi」から説明しよう。S1LKiは入力されてきたPCMデータを整数倍の176.4または192kHzにアップサンプリングし、さらに2.8/3.1MHz 1bit(DSD)データに変換した上でD/A変換を行うというローランド独自の変換技術。もちろんDSDネイティブ再生にも対応する(5.6MHz DSDの場合は、2.8MHzにダウンコンバート)。

こちらが、ローランドの独自変換技術S1LKi(シルキー)の再生時の概念図。全ての入力信号を一度176.4kHzとした上で、2.8MHz/1bitの信号へと変換して再生する仕組みを採用する。通常DACチップ内で行われる動作をあえてカスタムメイドのDSP内で行うことで、システム全体に最適化させた理想的なDA変換を可能とした

アップサンプリングはDA変換に付随する「エイリアスノイズ(折り返しノイズ)」をより綺麗に除去することが狙いだ。そのノイズを、可聴帯域を大きく超える高周波域のみにとどめ、DA変換でのフィルターにおけるノイズ除去をしやすくする。

1bitへの変換は、既存の一般的なDACチップでも内部的には同様のプロセスが行われている例は珍しくはない。しかし、S1LKiが「独自」である理由は、アップサンプリングから1bit変換までの処理を、DACチップ内ではなくその前段の自社製カスタムチップで行っていること。音への影響力が強いそれらの処理を、システム全体と合わせて自社で完全にコントロールしてチューニングしているのだ。

なおここは、一般論として「DSDに変換すると音が良くなる」という話ではなく、全体の最適化のための一手段として1bit(DSD)変換も行っていると理解しておくのが妥当だろう。

S1LKiを搭載した初のモデルとして登場したMobile UA(¥OPEN・予想実売価格¥33,000前後)

もちろん、ハイエンドの製品では同タイプの処理を行っているブランドもある。しかし、ローランドのUAシリーズは「Super UA」でも10万円を大きく切る。この価格の実現には、ローランドが自社カスタムチップとソフトウェア技術をすでに持っていたことも大きいようだ。

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