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角田郁雄のオーディオSUPREME

【第6回】CHORD「Hugo TT」を角田郁雄が聴く - 据え置きになった“Hugo”の実力とは?

公開日 2015/04/13 13:46 角田郁雄
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Hugo TTの、Hugo以上にスタイリッシュなデザインにも感心した。しかもアルミ合金切削のボディーは仕上がりが良く、重量感たっぷりだ。おそらく、この切削加工は非常に手間のかかるもので、高価であろう。内部にはHugoの基板が使われているが、Hugoと大きく異なるのは電源の強化だ。スペース・シャトルのロケット・ブースターのようにバッテリーが2列、並列に配置され、さらには電源強化用のキャパシターも追加されている。これにより電源部は強化され、長時間のバッテリー・リスニングが可能になった。この基板の下にはマザー・ボードが搭載され、嬉しいことにバランス出力が追加された。XLRバランス出力コネクターの近くにはバランス出力用のオペアンプを配置し、2次のアナログフィルターを構成しているようだ。

筐体手前側の半円形のブラックアクリルはBluetoothのアンテナだ

背面端子部。新たにXLR端子も搭載

よく考えられていると思うのは、基板のグランド(アース)だ。ジョン・フランクス氏とデジタルの鬼才、ロバート・ワッツ氏が本機において特に気にかけたのは、このグランドではないかと想像できる。Hugo基板のグランドは、新たに搭載されたマザーボードのグランドに接続され、さらに分厚いアルミ合金のボディーに接続されている。このグランドは音質に大きく反映する。

前面左のディスプレイには選択中のデジタル入力が表示できる

ヘッドホン端子はステレオ標準を2系統、ステレオミニを1系統搭載

内蔵バッテリーで駆動しているからといって、完全にノイズフリーとはならないはずだ。パソコンのUSBアースやその他の要因から、わずかなノイズは入り込むはず。こうした微細なノイズがHugo基板のグランドに流れ、そしてインピーダンスの低いマザーボードへ、さらにインピーダンスの低いボディーへと流れることで、ノイズを激減する仕組みなのだ(水が、高いところから、低いところに流れるように、ノイズもインピーダンスの高いところから、低いところに流れるのだ)。これにより、FPGAで構成された「WTAフィルター」による2048倍のオーバーサンプリングや、誤差0.1%以下の精密抵抗を左右8パラレルに使用した「パルスアレーDAC」が効率よく、理想的に動作してくれる。きっと高いS/Nと静寂感を際立たせたダイナミックレンジを聴かせてくれることだろう、と音を実際に聴く前から期待が募った。

なお、今回試聴したHugo TTは前述の通り発売前のプロトタイプとなったが、製品版では内部にさらなる変更が加えられることが、直近で来日したジョン・フランクス氏本人から語られた。この点にも期待したい。

超高S/N・超高解像度で、音源に内包する躍動感を鏡のように映し出す

まず、Mac(ミュージックプレーヤーは、J River Media Center)とUSB接続し、バランス出力を使って、ハイレゾのダイアナ・クラールの最新アルバム『Wallflower』(48kHz/24bit)を聴いた。一聴して、想像以上の音質に驚きを隠せなかった。我が家の200万円以上のモデルとは味わいこそ異なるが、それに迫るCHORDの新しい音だということを最初に記しておきたい。

Hugo TTをMac Book Proと組み合わせたところ

Hugo以上に広々とした空間に、真珠のように、柔らかな輝きのピアノが聴け、ストリングスは、シルクやビロードのように透明度の高い響きが空間に広がる。ちょっと顔を出すクラリネットの芳醇な響きにも感激する。そして中央に、少しウェトで低いハスキーな声を際立てたダイアナ・クラールの声が聴ける。その声には、生声に自然なリヴァーブがかけられていることが分かるほど生々しい。素晴らしい解像度と倍音の再現性で、とても、48kHz/24bitとは思えない芳醇なアナログ再生のように感じさせた。そして弱音は、美しく深い。音楽でエッセンシャルな弱音の再現性は、予想を超えていた。超高S/N、超高解像度な音質で、音源に内包する躍動感を鏡のように映し出す、ミラー・サウンドというイメージだ。

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